米国3社の事例に学ぶパンデミック後のCX【中編】
オンライン注文を1カ月半で実現 小売チェーンがコロナ禍で進めた大改革とは
2020年にオンライン注文と店舗受け取りのシステムを急きょ立ち上げた小売チェーンのGiant Eagle。同社はどのようにシステムの構築を進めたのか。2021年における同社の課題とは。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)後にカスタマーエクスペリエンス(CX)関連製品の見直しを始める企業は、デジタルCX(デジタルチャネルにおけるCX)を念頭に置いてベンダーを選定する必要がある。CXコンサルティング会社ONRのCEO、ジェイソン・テンパウ氏は、パンデミック後の経済で成功するにはプロセスのデジタル化だけでは不十分だと主張する。
レガシーシステムでは無理――「1カ月半で新システム稼働」の裏側
テンパウ氏が2021年にさまざまな規模の企業のCX責任者1000人を対象に実施した調査によると、デジタルチャネルの開設によって売り上げが増加したブランドは半数だった。プロセスのデジタル化とともにデジタルCXも検討するブランドは、さらに大きなメリットを得る可能性が高いという。「デジタル化は目的であってはならない。CX改善も併せて実施しなければ、引き寄せた顧客を長期的に維持することができない」とテンパウ氏は語る。
Giant Eagleは、米国中西部に474店舗を展開するスーパーマーケットとコンビニエンスストアのチェーンだ。同社は2019年にデジタルCXの見直しを始めた。まずオンライン注文システムを一から構築した。そのどちらにもmParticleのCDP(顧客データプラットフォーム)と、新しいパーソナライゼーションエンジンを採用した。これにより、例えば「菜食主義の顧客にはステーキのクーポンを送付しない」といった具合に、顧客の好みに合わせてお薦め品を並べ替えることができる。
コロナ禍の初期、Giant Eagleはオンラインで注文した商品を店舗で受け取るカーブサイドピックアップサービスを提供する必要に迫られた。同社のWebサイトへのアクセス数は、2020年の最初の6週間で2019年の年間合計を超えた。何もかもが一挙に過熱した。
Giant Eagleは、まだオンライン注文を始めたばかりだった。同社バイスプレジデント兼最高顧客責任者のダミアン・スコット氏は「コロナ以前は、オンライン注文は将来のために検討すべき小さな波にすぎなかった」と振り返る。同社は急きょオンライン注文の仕組みを実現する必要に迫られ、わずか1カ月半で新しいシステムの稼働を開始した。「当社のレガシーシステムでは実現できなかった」(スコット氏)
オンライン注文とピックアップサービスの準備、そのスケジュールの管理だけでなく、Giant Eagleは年配の顧客でもオンライン注文のやり方が分かりやすい、ユーザーフレンドリーなWebサイトも用意しなければならなかった。
Intercomのチャットbotも導入した。よくある質問への自動的な回答を可能にすることで、問い合わせに忙殺されるカスタマーサービス担当者の負担を軽減した。
2020年は変革が大きく進んだ。だがプロセスの合理化や簡易的な措置の恒常的なプロセスへの置き換えなど、十分に進まなかったこともある。Giant Eagleのデジタルチームは、やり残したことを、2021年に実現する計画だ。
スコット氏は次のように語る。「2020年は3年分、もしかすると5年分の変革を一気に進めたことになる。今度はこの間に始めたものを応急処置ではなく本番運用へと進めることになる」
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