“共感”から始める「CX」向上策【第4回】
顧客からのクレーム、「とにかく一刻も早く解決」が“正解”ではない理由
企業は「顧客からのクレームを一刻も早く解決することが、顧客にとって最良のことだ」と考えがちだ。だが、それだけでは顧客の満足は得られないという。どういうことなのか。
前回「『顧客に共感できる社員』を本気で育てる5つの方法」は、企業のカスタマーサービス担当者が、自社製品の顧客に対して適切な共感ができるようにするためのトレーニング方法を説明した。今回は、問題解決における共感の生かし方を紹介する。
カスタマーサービス担当者は、共感なしに顧客に満足感を与えることは難しい。カスタマーサービスは、顧客の購入プロセスにおいて前向きな体験を提供することを目的としている。問題を解決することだけを目的としているわけではない。
「問題を即座に解決」よりも「共感」が重要な“これだけの理由”
企業は一般的に、起こった問題を素早く解決したいと考える。一方で問題が起きたことと、それが引き起こした顧客の感情には目を向けたくないと考える企業もある。例えばカスタマーサービス担当者は「企業のWebサイトから商品の返品ができなかった」というクレームの電話を顧客から受けることがある。問題を早期に解決したいカスタマーサービス担当者は、返品に関する情報がまとまったWebページを顧客に案内し、顧客自身で必要な情報を確認するように伝えるだろう。
共感に基づく対処をする場合、企業やカスタマーサービス担当者は顧客が感じている感情から目を背けるのではなく、それに目を向けるべきだ。前述の顧客の返品プロセスにおけるトラブルで考えると、カスタマーサービス担当者が取り得る、共感に基づく応答の例は次の通りだ。「返品プロセスは煩雑で、情報を見つけるのが難しいことがありますよね。情報が掲載されている場所をご案内しますので、一緒に見てみましょう」
顧客が抱える問題の解決は、共感から始まる。 カスタマーサービス担当者は、顧客の気持ちと個々の状況を理解してから、問題の根本原因を特定する必要がある。顧客中心の企業は、共感を「顧客を知るプロセス」と見なしている。共感とは、顧客の苦痛に耳を傾け、顧客の視点から状況を理解することだ。直感だけでは十分ではない。企業が共感力を培うには積極的に顧客の状況に目を向け、顧客の痛みに対処するための献身的な行動が必要になる。
共感は基本的なビジネス原則であり、カスタマーエクスペリエンス(CX:顧客経験価値)の信条だ。それは実行可能な事業投資でもある。適切なタイミングと適切な口調で差し出す救いの手により、顧客が絶望に陥るのを防ぎ、満足のいく経験を提供することができる。
次回は、企業が顧客の気持ちを理解するのに役立つITツールを紹介する。
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