SaaS専業ベンダーの台頭で導入が進んだCRM。アイ・ティ・アールのアナリストへの取材を基に、CRMのトレンドを分析する。
IT調査会社のアイ・ティ・アールが2008年7月から8月にかけて調査した「ITR Market View:CRM市場2008」では、2009年度の国内CRM市場規模を約180億円、2012年には270億円規模に成長すると予測している。同社シニア・アナリストの甲元宏明氏によると、CRM導入のブームは過去3回あったという。
第1次CRMブームは1990年代後半、いわゆるITバブルのころで、Siebel Systems(現Oracle)、Vantive(現Oracle)、Clarify(現Amdocs)、Remedy(現BMC Software)といった4大CRMパッケージベンダーがシェアを争っていた時代だ。ベンダーが主張する欧米型CRMのメリットに魅力を感じた企業が導入を推進した。
第2次ブームは2002年以降のITバブル崩壊時期だ。バブル崩壊の余波で日本企業の業績が悪化したことで、抜本的な業務改革、例えばサプライチェーンの見直しなどといった、いわゆるBPR(Business Process Re-engineering)の一環でCRMを導入しようという企業が多かった。
そして第3次ブームが2007年から2008年の中盤までである。第3次ブームのきっかけは、日本版SOX法やコンプライアンス対応のために、ビジネスプロセスの標準化目的で自社のCRMを再検討する企業が増えたことだ。また、もう1点ブームを支えたのがSaaS(Software as a Service)に対する注目度の高まりである。
SaaSやクラウドコンピューティングへの注目はCRMに限ったことではないが、セールスフォース・ドットコムの台頭によりベンダー各社が次々とSaaS型CRMを打ち出したことで、CRMはSaaSの“主戦場”となる。そして、同調査最大のトピックスが、セールスフォース・ドットコムがCRM市場でシェア1位を獲得したことだ(図1)。実のところ2006年から日本オラクルとSAPジャパン、そしてセールスフォース・ドットコムがCRM市場のトップ3ベンダーという構図は変わっていない。しかし、SaaS専業ベンダーが初めて特定のアプリケーション市場でトップに立ったという事実は、甲元氏をはじめとするアナリストにとっても衝撃的だったという。「セールスフォース・ドットコムはもともと中堅・中小企業に強かったのですが、日本郵政への導入を皮切りに、大企業をも取り込んでいます。幅広い企業規模で導入が進み、今以上にシェアを伸ばすとみています」(甲元氏)
本分析は現在の「100年に一度」といわれる不況に陥る直前、第3次CRMブームの真っただ中の調査を基にしている。しかし、不況を迎えるとより既存顧客とのつながりを強化して顧客満足度の向上を狙う、いわゆる囲い込み型のCRMの重要度が増してくる。不況の終わりが見えない現在、その需要はさらに高まり、CRMへの投資は少なからず発生すると甲元氏は予測する。「特にリストラを余儀なくされた企業は以前よりも少人数でビジネスを推進しなければならないし、グローバルでビジネス展開する企業は俗人的な営業活動では対応しきれないため、CRMのシステム化ニーズは自然と発生するでしょう」(甲元氏)
そのほか、ERP導入をはじめとする基幹システム構築が一段落した企業が、今度はCRM系を強化し始めたこともCRM導入増加の原因として挙げられる。また、第1次CRMブームのころに構築したシステムのリプレース需要が2008年から増え始めているという。
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