必要性の高いセキュリティプロジェクトの予算がなかなか確保できず、どう工面するか頭が痛い……そんな悩みはないだろうか。また、社内のエンドユーザーにセキュリティ対策への協力を促し、自分たちもリスク管理の当事者だと理解してもらうのに苦労していないだろうか。わたしはいつも、このように資金を工面したり、社内のセキュリティ意識を高めたりすることの難しさを、創意工夫で何とか克服しようとしている。以下では、セキュリティ対策に向けて資金と協力を確保するための新たな切り口として、HDDのデフラグについて説明しよう。
断片化されたHDDは、コンピュータのパフォーマンスを低下させ、ユーザーに不満を抱かせることが分かっている。実際、わたしがユーザーから聞く困り事の最たるものの1つは、「コンピュータが遅い」というものだ。
コンピュータが遅い場合の一般的な解決策は何かといえば、新しいマシンを買うことだ。わたしが見てきた範囲でも、2、3年しか使っていないコンピュータが遅くなり、「時代遅れ」になったというだけの理由で、新品に買い替えている人が数え切れないほどいる。こうした古いコンピュータは、Microsoft OfficeやInternet Explorerなどの最新版を使うには力不足だというのが彼らの認識だ。
実際には、ここ4、5年の間に作られたコンピュータで、まずまずの容量のメモリ(512Mバイト〜1Gバイト。これなら法外なコストは掛からない)を積んでいるものは、一般的なビジネスソフトウェアのほとんどを問題なく動かせるだろう。特にWindows XP上ではそうだ。
多くのIT担当者は、限られた年間IT予算の中でやりくりしなければならず、無駄な出費があると判断されると予算を削られてしまう。速いPCへの買い替えをしないで済めば、浮いた予算をずっと先送りしてきた情報セキュリティプロジェクトに振り向けるといったことができる。だとすれば、デフラグは古いコンピュータが遅い場合の経済的な解決策ということになる。
一般的なWindows PCでは、膨大な数のWindowsプロセスやサービスが稼働しており、その上「必携」とされる最新の高性能な「ブロートウェア」(bloatware:システムリソースを大量に消費する重いソフトウェア)も使われる。このことを考えると、コンピュータが何でもこなせるのは実に不思議だ。さらに、コンピュータのメモリがどれだけ多くても、HDDがどれだけ速くても、事情は大して変わらない。なぜなら、コンピュータが強力なパワーを持っていればいるほど、その性能がすぐに劣化してしまうように見えるからだ。つまり、ウイルス対策やスパイウェア対策のソフトウェア、パーソナルファイアウォール、ディスク暗号化といった一般的なセキュリティ対策ツールを導入すると、社内の高速なコンピュータがどれものろのろとしか動かなくなってしまうのだ。
さらに、時間の経過とともにファイルの断片化が進み、HDDがコンピュータのパフォーマンスのボトルネックになる。しかし大抵の場合、必要な解決策、つまりHDDのデフラグは行われず、セキュリティ対策ツールが無効にされたり、さらには完全にアンインストールされたりしてしまう。
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