BIツールを導入した企業では、実際に利用している従業員はごく一部であり、ベンダーのサポートサービスに十分満足しているBIユーザー企業は4分の1にすぎないという調査結果が報告された。
ビジネスインテリジェンス(BI)ツール/ソフトウェアを導入した企業では、実際にそれらを利用している従業員はごく一部であり、ベンダーのサポートサービスに十分満足しているBIユーザー企業は4分の1にすぎない──。英調査会社のBusiness Application Research Center(BARC)がBIユーザー、コンサルタント、ベンダーを対象として実施した最近の調査で、このような現状が浮かび上がった。
「しかしBIベンダー各社は、顧客企業の利用状況およびサポートに対する満足度について、かなり楽観的な認識を抱いている」──BARCの調査を統括し、報告書をまとめた独立アナリストのナイジェル・ペンズ氏はこう指摘する。
調査によると、BIツールを導入した企業では、平均すると8%の従業員がそれらを利用しているが、ベンダー各社は自社の顧客ではその数字が14%になるとしている。同様に、27%のユーザー企業がベンダーのBIサポートサービスを「素晴らしい」としているのに対し、ベンダー側は51%のケースで素晴らしいサポートを提供していると考えている。
ペンズ氏によると、大抵のベンダーは販売したライセンス数だけに基づいて顧客企業での従業員の利用状況を判断しているが、現実には、販売されたBIライセンスのすべてが実際に使われているわけではない。
「BIユーザー企業の中には、プロジェクトがまだ初期段階であったり、一括購入割引の適用を受けるために余分なライセンスを購入したといった理由で、まだライセンスを利用していないところもある」とペンズ氏は説明する。BIの導入がうまくいかず、一時的あるいは最終的にプロジェクトが中止されたために、ライセンスが利用されないままになっていることもあるだろう。ペンズ氏によると、ベンダーのサポート不足が問題の原因となっているケースもあるが、BIプロジェクトが頓挫する最大の原因はコストの問題だという。
BIプロジェクトの成功の妨げとなる最大の障害についても、ベンダーとユーザーの意見は異なる。ユーザーはクエリの速度が遅いことを最大の不満点として挙げているのに対し、ベンダーはユーザーのデータ品質の低さが最大の障害だとしている。ペンズ氏はユーザー側の主張に軍配を上げている。
「ベンダーは勘違いしているようだ。彼らは、自社の製品が実際よりも優れていると思い込んでいる」とペンズ氏は語る。さらに同氏によると、多くのベンダーは顧客との対話が不足しているため、導入と運用に関する問題を十分理解していないという。
ペンズ氏によると、次のようなシナリオが一般的であるようだ──ベンダーがBIソフトウェアを顧客に販売し、コンサルタントが少数のユーザーを対象にソフトウェアのテストを手伝うだけで、ソフトウェアを大規模に配備したときに発生するパフォーマンス問題への対処は顧客任せというものだ。
この調査では、小規模な独立系BIベンダーの顧客は、OracleやSAPといった大手ベンダーの顧客よりも、サポートとパフォーマンスのレベルに対する満足度が高いことが分かった。「小規模ベンダーは例外なく、ほとんどあらゆる面で大手ベンダーよりも良い仕事をしているようだ」とペンズ氏は語る。
しかし高度な機能や優れたサポートサービスが提供されたとしても、今後の調査でBIツール/ソフトウェアを利用する従業員の比率が大幅に増加することはないとペンズ氏は予想しており、「一般ユーザーのためのBI」というメッセージはベンダーと業界ウオッチャーが推進しているキャッチフレーズにすぎないという。
「BIツール/ソフトウェアは、大規模環境で運用管理するのが非常に難しい。何千人もの従業員を一斉にトレーニングしながら運用することはできない」とペンズ氏は話す。
この調査は、米国、欧州、南米、アジアの2622社のBIユーザー、コンサルタント、ベンダーを対象に2008年実施されたもの。
調査では以下の事実も明らかになった。
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