“アジャイル開発”適用への3つの課題――IPAが指摘NEWS

IPAが17のサンプル事例を基にした“非ウォーターフォール型開発”に関する調査報告書をWebサイト上で公開した。

2010年04月01日 09時00分 公開
[TechTargetジャパン]

 独立行政法人情報処理推進機構(IPA)ソフトウェア・エンジニアリング・センターは、アジャイル型開発を中心とした“非ウォーターフォールモデル型開発”に適したシステムの分野や規模などについての調査「非ウォーターフォール型開発に関する調査」を行い、17のサンプル事例を含む報告書をWebサイトで3月30日に公開した。

 IPAが刊行した「ソフトウェア開発データ白書2009」によると、開発プロジェクトの96%がウォーターフォール型開発を採用しているという。今回IPAは、アジャイル型開発の普及に向け、適用分野などの現状把握とその課題を整理して今後の対応へ結び付けることを目的とした「非ウォーターフォール型開発に関する調査」を実施した。この調査では、Webアプリケーションや企業の業務システムなど幅広いシステム開発の領域からサンプル事例を17例収集し、アジャイル型開発が「どのような特性のプロジェクトに向いているのか」「適用の際にはどのような課題があるのか」などを整理して報告書にまとめた。

 IPAの調査の結果、プロジェクトにおける開発手法は「ウォーターフォール型か、アジャイル型か」という二者択一ではなく、ウォーターフォール型開発プロジェクトの中にも、システム開発の適性に合わせてアジャイル型開発を併用している例があることが分かったという。また、アジャイル型開発を普及させるに当たっては、主に以下の3つの課題があると指摘している。

IPAが考えるアジャイル型開発普及への3つの課題

経営層の理解:システム開発企業やユーザー企業の経営層、マネジメント層などに アジャイル型の開発手法が適している分野があることの理解が広がらないとその採用が難しい

契約:成果物が不明確な段階で、契約の前提となる工数などの見積もりが難しい

マネジメント:小規模の開発を繰り返しながらプロジェクト全体を最適化させるため、品質管理や進ちょく管理などについて、現行の管理方法をそのまま適用できない


 IPAでは今後、この調査結果に基づき、アジャイル型開発の普及と理解促進の方策として、契約や品質管理などの在り方について検討する予定。

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