電子カルテ製品は市場に数多く存在し、提供ベンダーはそれぞれの得意分野から参入している。今回は、病院向けオーダリングシステムを基に開発された無床診療所向け電子カルテを紹介する。
医療情報システムの導入は、1960年代後半の「医事会計システム」から始まり、1980年代には検査・薬局部門などへの「オーダリング(発注)システム」、1990年代以降に「電子カルテシステム」へと進んだとされている。また、その対象範囲も、個別部門から院内ネットワークを介した病院内連携、病院・診療所間などの医療機関同士の連携へと規模が拡大してきた。
現在、市場には電子カルテ製品が数多く存在し、その製品提供ベンダーはそれぞれ得意の分野から参入している。アイネット・システムズのシステム事業部システム開発部の加藤真理氏は、同社の電子カルテシステム「AI・CLINIC EV」(以下、AI・CLINIC)について、「病院向けオーダリングシステムの強みを生かして開発した製品」と説明する。今回はAI・CLINICを紹介する。
AI・CLINICは、受付から診察、会計処理までの診療業務の一連の流れを1つのシステムで行えるようにした、無床診療所向け電子カルテ。アイネット・システムズが展開していた病院向けのオーダリングシステムをコンセプトに開発され、2000年から販売が開始された。
処理 | 機能 |
---|---|
受付業務 | 受信患者一覧、簡易コメント入力、問診入力、患者属性入力、保険ウィザード、窓口予約 |
診察業務 | カルテ、病名入力、患者禁忌情報入力、家族カルテ参照、問診履歴参照、投薬歴参照 オーダー入力、オーダーシール発行、紹介状・診断書作成、検査依頼・結果参照、診察中断機能、仮計中断機能、次回予約次回オーダー機能、簡易ファイリング機能 |
会計業務 | 受領書発行、会計カード参照、月間・年間受領書発行 |
請求業務 | 月遅れ、返戻処理、レセプトチェック、付せんコメント機能、レセプトプレビュー機能 レセプト・総括表発行、レセプト差分発行、レセプト電算 |
統計業務 | 日計表・月計表、統計管理、各種データ印刷、各種データファイル出力 |
オプション | 薬剤情報提供書、労災・自賠責、能書情報 |
AI・CLINICでは、診察室と事務室に設置する2台の端末をシステムの最小構成とする。データのバックアップについては、2つのハードディスクにデータを同時に記録して保存する。万が一、一方が故障した場合には、もう一方のハードディスクを活用した運用が可能。さらに端末を追加設置することで、システムを拡張できる。
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