選定基準はスペックだけではない
失敗しないハイパーバイザーの選び方
効果的なサーバ仮想化を実現するためには、目的に合ったハイパーバイザーを選ぶことが重要だ。ハイパーバイザー選択の基準を幾つか紹介する。
ハイパーバイザーおよびそれによって仮想化されるワークロードは、企業がハードウェアを効率的に運用することを可能にする。
ワークロードが稼働する物理サーバの利用率が15%以下にすぎないことに気付いた企業は、サーバを仮想化するハイパーバイザーを利用して、物理サーバの利用率を80%以上に高めたいと考え始めた。
複数の仮想ワークロードが稼働する物理サーバ(通常は物理サーバ1台当たり10ないし30、あるいはそれ以上のワークロードを保有する)は、効率の高い利用モデルを実現するだけでなく、グリーンデータセンターというコンセプトにも合致する。サーバ仮想化を可能にする手品の種は、ハイパーバイザーと呼ばれる小さなコードだ。これは、ハードウェアリソースを利用して複数の仮想マシン(VM)の運用をサポートするツールだ。VMそれ自体は、CPUコア、メモリ、ネットワークインタフェースカード(NIC)、ストレージを共有するOSインスタンスだ。これらはx86ベースのOSで、WindowsもしくはLinuxの32ビット版および64ビット版を実行できる。
ハイパーバイザーの活用
ハイパーバイザーは、VM内でワークロードを稼働させる。VMは、企業が業務を遂行するのに必要な従来型のネットワーク化されたサービスを実行するのに利用される。ワークロードを管理する方法は従来と同じだ。VMは物理マシンとまったく同じように振る舞い、同じように外界と交信する。
しかし物理サーバの管理方法は従来とは異なる。この新しい運用モデルは、サーバハードウェアを、ルータ、スイッチ、ストレージコンテナといったほかのハードウェアデバイスと同じレベルで扱う。サーバ群はリソースのプールとして高可用性クラスタを構成し、ユーザーが運用するワークロードが稼働するVMの可用性を確保する。
ハイパーバイザーを最大限に活用するには、ニーズに合った製品を選択しなければならない。現在、何種類かのハイパーバイザーが出回っており、ハイパーバイザーを提供している企業も何社か存在する。正しい選択をするには、以下の点を検討し、どの製品が自社に適しているのか判断する必要がある。
ハイパーバイザーのタイプ1とタイプ2
市場に出回っているハイパーバイザーには2つのタイプが存在する。タイプ1(ベアメタル型)ハイパーバイザーは、ハードウェア上で直接動作する。タイプ2は、既存のOS上のアプリケーションとして動作する。タイプ1型ハイパーバイザーはハードウェアの仮想化をサポートするのに対し、タイプ2型ハイパーバイザーはソフトウェアの仮想化をサポートする。両ハイパーバイザーの違いはこちらに詳しい説明がある(リンク先は英文)。
ハイパーバイザーの性能指標の比較
ハードウェア仮想型ハイパーバイザー(米VMware、米Microsoft、米Citrix Systemsの製品)の多くは、ほぼ同じ基本機能を備えている。どのハイパーバイザーが自社のニーズに適しているかを判断する最善の方法の1つは、各製品の性能指標を比較することだ。これらの指標としては、CPUオーバーヘッド、ホストとゲストで利用可能な最大メモリ、仮想プロセッサのサポートなどがある。
だが指標だけで選択するのは危険だ。ハイパーバイザーの機能だけでなく、各ハイパーバイザーがサポートするゲストOSの種類を確認することも重要だ。
自社のサービスネットワークが異種混在環境であれば、運用中の各OSをサポートするハイパーバイザーを選ばなければならない。WindowsもしくはLinuxで標準化されたネットワークを運用している企業の場合は、サポートするゲストOSが少ないハイパーバイザーの方がニーズに合うかもしれない。
そのほかの選定基準
ハイパーバイザーの選択基準はほかにもある。例えば、最も歴史が長く、最も人気の高いハードウェア仮想化ハイパーバイザーを提供しているという理由でVMwareを選ぶ企業もあるかもしれない。
社内がWindows中心の環境であり、しかも無料の製品だという理由でMicrosoftのHyper-Vを選ぶ企業もあるだろう。また、強力な仮想化プラットフォームとして定評があり、社内でも既にXenApp製品を利用しているという理由でCitrix SystemsのXenServerを選択する企業もあるかもしれない。あるいは、これらビッグスリーの製品がニーズに合わず、比較的無名のハイパーバイザーを選ぶ企業もあるだろう。
要するに、ハイパーバイザーの選択に際しては多くの要素を考慮する必要があるということだ。ハイパーバイザーはすべて同じというわけではないが、どの製品も同様の機能を備えている。各製品が提供する機能、およびサポートするゲストOSを理解することが、ハードウェア仮想化用ハイパーバイザーの選択で最も重要なポイントだ。本記事で示した基準をあなたの会社の要件に照らし合わせることが、ハイパーバイザー選定の決定打になることを願っている。
本稿筆者のダニエル・ルースト氏とネルソン・ルースト氏は、継続的サービスアベイラビリティとインフラ最適化を得意とするIT専門家。『「Virtualization: A Beginner's Guide』」と『「Windows Server 2008: The Complete Reference』」(いずれもMcGraw Hill Osborne刊)、『「MCITP Self-Paced Training Kit (Exam 70-238): Deploying Messaging Solutions with Microsoft Exchange Server 2007』」(MS Press刊)などの著作がある。最近も『「Microsoft Exam 70-652: Configuring Windows Server Virtualization with Hyper-V』」用のトレーニングガイド(Microsoft Pres刊)を執筆した。
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