FAX統合はコスト削減の第一歩
音声もFAXもメールで確認――ユニファイドメッセージの業務効果
メールにマルチメディアを統合する「ユニファイドメッセージ」。この手法を使って、業務課題やコミュニケーションの改善だけではなく、従来の通信機器・回線コストを削減する方法を解説しよう。
ユニファイドメッセージとは
ユニファイドメッセージとは、ボイスメールやFAXなどを電子メールと統合し、そのメッセージを確認することを可能にするソリューションである。従来は各専用端末(機器)でしか受信して応答することができなかった音声やFAXなどのメッセージを、電子メールクライアントなどで一括して扱える。
これまでのユニファイドメッセージの導入は、ボイスメールを電子メールと連携させ、メールクライアントまたはWebブラウザで活用するのが一般的だった。オフィスのPCを中心として業務を進める場合、このような形で音声メッセージを統合することで効率化が図りやすかったという背景がある。
こうしたユニファイドメッセージの利用は、一定の効果は得られたが、メッセージを確認するデバイスがPC中心のため、ユーザーの利用シーンにおいては効果的な解決策とはなっていなかったケースもあった。企業の電話利用が固定電話から携帯電話などのモバイル端末へと変化するにつれて、音声メッセージをシステム連携する投資効果の考え方も変わってきているのだ。
ユニファイドメッセージのコスト削減効果は?
こうした状況で、業務改善を実現し、かつコスト削減が可能なユニファイドメッセージとしてあらためて注目されているのは、FAXの統合だ。これまでもFAXを組み合わせたユニファイドメッセージは技術的に可能ではあったが、FAXをシステム上で統合することはあまり多くはなかった。
複合機でのコピー/FAXの機能統合によりオフィスの機器削減が進んでいるが、企業によってはFAX専用機器がかなり存在し、利用頻度が低いにもかかわらず業務上そのまま運用しているところも多いのではないだろうか。「FoIP(FAX over IP)」とは、インターネットやイントラネットなどのTCP/IPネットワークを利用してFAXデータを送受信する技術である。VoIP(Voice over IP)環境に取り残されたFAX環境をネットワーク対応させることによって、ユニファイド(統合)された環境が実現する。FAXのユニファイドメッセージ統合は、企業でもまだまだコスト削減余地がある領域でもある。
FAX統合はコスト削減効果を見える化しやすい
前述のようなFAX専用機を運用し続ける企業では、数百台~数千台近くを所有しているケースもある。FAXは当然ながら、機器だけではなく回線も必要となるため、機器・印刷費用以外にも回線コストが月額で発生している。このFAXをユニファイドメッセージに統合すると、機器の大幅な削減や、回線の利用状況に応じて契約数の見直しを図ることが可能となる。ある企業では、FAX統合によって機器を3割、利用回線を5割以上削減した例もある。
また公衆回線を排除し、通信インフラをIPネットワークに集約できる領域が増せば、インフラ管理者の負担も削減されるわけだ。
表1を見ると、FAXのユニファイドメッセージ化において、FAX機器と回線の削減効果が多くの割合を占めるのが分かる。これだけでも、見直しを行う範囲によって月額単位で大きなコスト削減効果が得られるだろう。また、既にFAXメッセージが電子化されているため、稟議書やワークフロー申請などの添付資料としての情報再利用が容易になり、FAXされたものを再度複合機で電子データ化するといった、従来の事務処理をなくせる。さらに、外部からのFAXによる見積書類もすべて電子化されるので、書類も保管しやすくなる。
| 項目 | 効果 |
|---|---|
| FAX機器 | 機器削減にリース費用の削減 印刷費用の削減 機器削減に伴う資産管理コストの削減 FAX利用率の最適化 |
| 回線 | 回線コストの削減 インフラ管理者の負担軽減など |
| ペーパーレスの推進 | 紙資源の利用削減 |
| セキュリティ向上 | 情報漏えいリスクの低下(誤送信防止) コンプライアンス(承認機能を利用したFAX送信) |
| データ再利用・保管 | 稟議書やワークフローでのデータ添付による再利用や保管コスト削減 |
| 移転・管理コスト | 支店/フロア単位でのFAXの設置をやめ、移転・管理コストを削減 |
| 製品名 | Open Text RightFax EmailGateway | まいと~く FAX Center/FAX Server | Microsoft Exchange Server |
|---|---|---|---|
| 提供ベンダー | ハンモックほか | インターコム | マイクロソフト |
| 画面イメージ |
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表2に挙げた製品以外にも、KDDIの「ペーパーレスFAXサービス」などのように、FAXメッセージを携帯電話のWebブラウザから閲覧できるサービスもある。
対応製品はどう選ぶ?
次に、FAXをユニファイドメッセージとして統合するソリューションの選択ポイントを以下に挙げてみよう。
| 項目 | ポイント |
|---|---|
| プロトコル | T.38プロトコルに対応しているか? |
| 回線収容方法 | 音声ゲートウェイ/FAXゲートウェイや専用ボードなど回線の収容方法や対応しているキャリア回線サービス |
| メールサーバとの連携 | 連携可能な電子メールサーバ |
| データ形式 | 独自形式またはPDFなど |
| セキュリティ対応 | FAXメッセージの共有方法などセキュリティ方法 |
| 誤送信防止機能 | コンプライアンス機能(ワークフロー承認機能など) |
| FAXサーバ仕様 | サーバの仮想環境(VMwareや仮想FAXボード)への対応 |
| システム連携 | APIおよびOCR連携や既存業務システムとの連携 |
| ログ機能 | 送受信FAXリポートおよび送信者情報など |
| モバイル端末への対応 | スマートフォンによる受信したFAXメッセージの閲覧 |
このようにFAXをユニファイドメッセージとして統合する場合、プロトコルや回線収容方法など、幾つか考慮しなければならないポイントがある。これらを検討した上で製品を選ぶことが重要だ。
また、「モバイル端末への対応」例として、インターコムの「まいと~く FAX Server」では、受信FAXメッセージを自動的にPDFファイルに変換、メールの添付ファイルとして指定のアドレスに転送し、閲覧することも可能である。
ユニファイドメッセージは新しい利用形態へ
昨今では、統合コミュニケーションツールの標準機能としてユニファイドメッセージが含まれている。統合するメッセージも音声だけではなく、インスタントメッセージにテキストデータやイメージデータを統合して利用する形態が主流である。またPCやスマートフォンだけではなく、iPadに代表されるタブレット型デバイスでも同様の利用が可能な環境を各メーカーが提供する準備を進めている。
今後のユニファイドメッセージは、ユーザーの利用形態に応じて、どのデバイスを利用しても同じユーザーインタフェースで利用できることが当たり前のようになっていくだろう。従って、製品がマルチデバイスに対応していることも、大切な選択ポイントとなってくると思われる。
矢萩陽一(やはぎ よういち)
ネットマークス 商品企画部
国内システムインテグレーター、外資系ネットワークインテグレーターを経て、ネットマークスに入社。2007年よりUCの技術評価および営業支援業務を担当。現在は、ユニファイドコミュニケーションおよびコラボレーション関連の商品・サービス企画・プロモーション業務に従事。
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