誰も触れないExcelファイルがなぜ生まれるの?【IFRS】経理業務とExcelの深い関係【第2回】

財務経理の現場で使われているExcelファイルは容易に「作成者自身でしか変更・保守できない」ファイルになってしまう。いわゆる「ブラックボックス化」だ。この問題を避けるにはどうすればいいのか?

2012年08月22日 08時00分 公開
[原 幹,クレタ・アソシエイツ]

 財務経理といえばExcel、Excelといえば財務経理。といっても過言ではないぐらいに、財務経理業務と「Microsoft Excel」に代表される「表計算(スプレッドシート)ソフトウェア」とはゆかりが深い。

 この深い関係はいつから始まったのか? 財務経理業務へのスプレッドシートの活用はこれからも続くのか? 近い将来に到来するIFRS(国際財務報告基準)への対応も踏まえ、経理業務とExcelの関係について概観します。なお、以下の文中における見解は特定の組織や団体を代表するものではなく、筆者の私見です。

Excelで作る業務資料が「ブラックボックス化」しやすい理由

 連載第1回「私たちがExcelをこれほど使う理由」では、財務経理業務にExcelが深く入り込んでいる現状とその重要さについて振り返りました。ここではもう少し踏み込んで、Excelを業務で利用することで生じるリスクや対処法を考えてみたいと思います(なお、Excelの業務リスクは財務経理業務に限定されませんが、ここでは財務経理業務に話を絞ります)。

 Excelは表計算(スプレッドシート)ソフトウェアとして多くの機能を持っており、使いこなし方次第で非常に強力で便利なツールになります。一方で、Excelで作成した業務資料は以下の要因により「ブラックボックス化」つまり「作成者自身でしか変更・保守できない」ファイルになるリスクを抱えています。

  • ファイル作成の自由度が高い
  • 表示されている情報と背後にあるビジネスロジックの関係が見えにくい
  • 仕様書や設計書が作成されない
  • 業務処理がマニュアル化されにくい

 以下、それぞれの要因について解説します。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

From Informa TechTarget

お知らせ
米国TechTarget Inc.とInforma Techデジタル事業が業務提携したことが発表されました。TechTargetジャパンは従来どおり、アイティメディア(株)が運営を継続します。これからも日本企業のIT選定に役立つ情報を提供してまいります。

ITmedia マーケティング新着記事

news067.jpg

「単なるスポーツ広告ではない」 Nikeの27年ぶりスーパーボウルCMは何がすごかった?
Nikeが27年ぶりにスーパーボウルCMに復帰し、注目を集めた。

news082.png

Z世代と上の世代で利用率の差が大きいSNSトップ3 1位「TikTok」、2位「Instagram」、3位は?
サイバーエージェント次世代生活研究所が実施した「2024年Z世代SNS利用率調査」の結果が...

news187.jpg

主戦場は「テレビ画面」へ YouTube20周年でCEOが公開書簡
20周年を迎えるYouTubeが、クリエイターとユーザーの双方にとってより魅力的で革新的なプ...