中堅・中小企業のERP選びが分かる3つのホワイトペーパーホワイトペーパーレビュー

中堅・中小企業がERPを導入する際に課題となるコストや業務要件、運用管理に関わる問題をどう解決するか。ERP選びの参考となるホワイトペーパーを紹介する。

2012年09月26日 08時00分 公開
[垣内郁栄,TechTargetジャパン]

 TechTargetジャパンが行った読者調査によると、中堅・中小規模(年商500億円規模)の企業の約3割がERPパッケージを導入している(参考記事: 会員調査で分かった中堅・中小企業が「ERPを導入してこなかった理由」)。これらの導入企業で共通するのは、中堅・中小企業に特有の課題を解決してきたことだ。中堅・中小企業のERP導入にはどのような課題があり、どう解決できるのか。ホワイトペーパーで見てみよう。

ユーザーの声からERPの評価を知る

ERP製品評価リポート

提供:マイクロソフト(12ページ) 提供:マイクロソフト(12ページ)

 多数あるERPパッケージの中から自社に合った製品を選ぶのは難しい。参考になるのは既にERPを使っているユーザーの声だ。このホワイトペーパーはノークリサーチが中堅・中小企業(年商500億円未満)を対象に行ったERPの利用実態についての調査結果を抜粋して紹介している。

 市場シェアはSAPジャパンの「SAP ERP」がトップで、次いで富士通の「GLOVIA」、OBCの「奉行V ERP」が続く。その他、「導入/サポート価格は適当か」についても調査。市場シェアが高いSAP ERPや奉行V ERPであっても、導入/サポート価格についての満足度は低い。「機能は十分だが、価格は高い」と思っているユーザーが多いといえるだろう。

 「自社の要件に合致しているか」についても調査結果を紹介している。マイクロソフトの「Dynamics AX」やワークスアプリケーションズの「COMPANY」が上位。特にDynamics AXは、自社要件に合わせて開発される独自開発システムよりもユーザー評価が高かった。リポートでは「機能の充足度」「軽快さ」などについても調査結果を紹介している。他の中堅・中小企業でどのようなERPが使われ、どう評価されているかが分かるリポートだ。社内でERP導入の提案を行う際の資料としても活用できるだろう。

35年使った自社開発システムを刷新した中堅・中小企業

中堅企業が35年間使い続けた自社システムを止めERPへ移行 その効果と成功要因は

提供:SAPジャパン(6ページ) 提供:SAPジャパン(6ページ)

 大半の中堅・中小企業は業務を何らかの形でシステム化している。ただ、そのシステムが非効率で使いにくくなっているのが課題だ。このホワイトペーパーで紹介する補聴器、医用検査機器製造のリオンも同じだ。同社は約35年にわたり、自社開発の基幹システムを使ってきた。しかし、部門や業務に特化した形で開発してきたシステムだったため、部門間の連携などができず、全社で見ると効率性が低下する要因となっていた。また、自社開発の基幹システムはCOBOLで開発していたが、技術者の今後の育成について不安を感じて、オープン系のERPパッケージへの移行を決めた。

 導入したのはSAP ERP。「全体最適」をキーワードに進めた導入プロジェクトでは、できるだけSAP ERPの標準機能を使う方針を貫き、アドオン開発を最小限にとどめた。運用体制を迅速にユーザー部門に移管するため、導入の早い段階でユーザー部門のキーパーソンにトレーニングを実施した。このキーパーソンが部門のエンドユーザーにSAP ERPの利用方法を伝達する仕組みで、SAP ERPのスムーズな利用開始が可能になったという。ホワイトペーパーでは他にERPパッケージ選定の理由や、導入コスト削減のポイント、導入効果などがユーザーの声で語られている。

海外展開する中堅・中小企業の課題とは

中堅・中小企業のグローバル経営に最適化したERPソリューション

提供:リコーITソリューションズ(20ページ) 提供:リコーITソリューションズ(20ページ)

 中堅・中小企業のビジネスがグローバル化しつつある。中堅・中小企業でも部材の調達や製品の販売で海外企業とやりとりするのはもはや常識だ。また、海外に製造や販売の拠点を設けるケースも増えてきた。だが、ITシステムを整備していないために、海外展開に苦労する企業も多いようだ。

 このホワイトペーパーでは海外とのビジネスが増えているにもかかわらず、「海外からの業績報告をMicrosoft Excelで行っている」「必要なときに海外拠点の情報を見ることができない」などの企業は注意が必要と警告している。国内の本社から海外拠点のモニタリングや経営管理をきちんと行うことができず、海外におけるビジネスチャンスを逃したり、ガバナンス上のリスクがあるのだ。

 グローバル展開するためのITシステムの課題として、このホワイトペーパーは3点を指摘する。「日本から海外拠点の活動が見えない(各拠点でデータが散在)」「各海外拠点のシステム基盤と運用の違いによるリスクと無駄」「内部統制対応へのリスク」。この課題をERPパッケージでどう解決するのか。ビジネスの海外展開に向けてERP選びを真剣に考えている企業に役立つホワイトペーパーだ。

 今回紹介したホワイトペーパー以外にも、ホワイトペーパーダウンロードセンターでは、中堅・中小企業のERP選定の参考となる技術文書や製品資料、事例紹介などを掲載している。ぜひダウンロードしてご活用いただきたい。

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