ユーザー企業の情報システム部門/情報システム子会社で働く読者を集めた座談会リポート。前編では、クライアント/サーバの仮想化状況を中心に話を聞いた。
コスト削減からビジネスを生み出すITへ、企業のITインフラは日々変革を求められている。そんな中、クラウドコンピューティング(以下、クラウド)は、企業のコスト競争力やビジネススピード促進の有効な手段として期待を集める。一方で、データセンターの障害やセキュリティリスク、データやシステムの移行性は、クラウドをはじめとしたアウトソーシングサービスにつきまとう課題だ。
企業は今後、ITの所有と利用との境界線をどのように考えるべきなのだろうか。また、クラウドとの付き合い方とは――。TechTargetジャパンでは2012年9月26日、ユーザー企業の情報システム部門/情報システム子会社で働く読者を集めた座談会を開催した。座談会では、仮想化/クラウドを視野に入れたITインフラの在り方について闊達な意見交換がなされた。本リポートではその模様の一部をお伝えする。
坪井哲也氏 アジア航測株式会社 経営管理本部 経営情報部 部長
望月敏行氏 アストマックス株式会社 情報システム室 室長
森 章氏 金融系企業の情報システム子会社 情報システム部門職員
浅井英二 アイティメディア ITインダストリー事業部 エグゼクティブプロデューサー
――望月さんから自己紹介をお願いします。
望月氏(以下、敬称略) 投資顧問会社をグループに持つホールディング会社の情報システム部門に勤務しています。従業員数は100人未満ですが、ディーラーが1人で5台くらいの端末を使うこともあるため、端末の数は250台程度あります。情報システム部門の人員は4人で、自社開発と運用の両方を担っています。
――それくらいの規模で、情報システム担当者がいらっしゃって自社開発もされているのは、やはり金融はITが核心的な要素だからでしょうか?
望月 というよりも、情報漏えいを恐れています。外注先と守秘義務契約を結んだとしても、情報が漏れてしまえば取り返しがつきませんから。また、社内にノウハウを蓄積する目的もあります。
――開発されるのは主にディーリング事業に関するシステムですか?
望月 そうです。ただし、金融システムはフロント、ミドル、バックに分けられますが、勘定系システムであるバックに関しては外注することもあります。
――ありがとうございます。続いて坪井さんお願いします。
坪井氏(以下、敬称略) 弊社は飛行機を飛ばして航空写真を撮り、地図を作る会社です。その地図を基に、社会インフラのコンサルティングや情報管理の支援を行っています。航空写真は、約1億画素の航空カメラで撮影するので、1回飛行機が飛ぶとTバイト単位のデータが発生します。さらに、加工すれば容量は5〜6倍になります。大容量のデータがどんどん増える中で、インフラ導入・運用管理をサポートすることが任務です。
社内向け情報システム部門は約20人。写真データなどを管理するファイルサーバなどのインフラ導入・運用管理だけでなく、一般の会社と同様に基幹系・情報系システムの企画や開発も行います。従業員数はグループ会社を含めて約1000人です。お客さまは官公庁や自治体が多いです。
――続いて、森さんお願いします。
森氏(以下、敬称略) 金融系企業の情報システム子会社に勤務しています。事業内容はさまざまです。私が所属するITソリューション系の事業部では、主にグループ/関連会社に対し、ITインフラやアプリケーションなどのサービスを提供しています。私は主にインフラの設計と提案を担当しています。
運用はノウハウを全てマニュアル化し、各グループ/関連会社に任せていますが、サポートはやはり手本としての問い合わせが多いため、専任で1人派遣社員を置いています。
――お客さまはグループ/関連会社が多いのですね。グループ/関連会社といってもさまざまな規模ですよね。
森 グループ/関連会社の規模の大小はさまざまです。実際、新規にサーバを買う予算のない会社もあります。そういった会社に対しては、今後、弊社で仮想サーバを提供するなど、少しでも経費削減に役立てればと考えています。
――皆さんがお勤めの会社では、仮想化の導入はどれくらい進んでいるのでしょうか。
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