中堅・中小企業のビジネスインテリジェンス(BI)製品に対するニーズが変わりつつある。こうした状況を受け、中堅・中小企業向けのBI製品も変化している。最新動向を示す。
中堅・中小企業における従来のビジネスインテリジェンス(BI)活用は、ERPにおける集計/分析ツールを主体としてきた。だがBI市場全体の大きな変化を受けて、中堅・中小企業がBIに抱く期待も変わりつつある。そこで本連際の第3回は、中堅・中小企業におけるBI活用のニーズの変化に伴う課題を挙げ、その課題に対するベンダーの解決策について取り上げる。
中堅・中小企業におけるBI活用の原点は、帳票アプリケーションによる「データの見える化」にさかのぼる。販社やシステムインテグレーター(SIer)のインテグレーションにより、ウイングアークの「SVF」、SAPジャパンの「SAP Crystal Reports」といった帳票アプリケーションが、ERPをはじめとする業務システムデータを可視化する手段として用いられてきた。その延長として、「集計や分析を伴う高度な可視化をしたい」「さまざまなデータベースに散在するデータを統合して集計/分析したい」といったニーズを担う要素として、BIの活用が徐々に進んでいったのである。
以下のグラフは、年商500億円未満の中堅・中小企業に対して「BI関連アプリケーションの導入状況」を聞き、その結果を帳票アプリケーションとERPアプリケーションの導入状況別に集計したものである。
帳票アプリケーションとERPアプリケーションのいずれについても、導入済みと回答した企業の方が、BIアプリケーションに関して高い導入率を示している。中堅・中小企業では、帳票やERPの導入がBIと密接に結びついていることが確認できる。
例えば、ウイングアークのBI製品「Dr.Sum EA」は、同社が提供するダッシュボード製品「MotionBoard」と組み合わせることで、集計や分析を伴う高度な可視化を実現可能だ。その背後には、帳票アプリケーションとして高いシェアを誇るSVFの存在があり、Dr.Sum EAが多くの中堅・中小企業向けERPアプリケーションと組み合わせて導入される素地を築いたといえるだろう。
また、エヌジェーケーの「DataNature」は、「さまざまなデータベースに散在するデータを統合して集計/分析する」というニーズを手軽に実現するBIアプリケーションとして定評がある。DataNatureは、比較的小さい年商帯の中堅・中小企業向けERPアプリケーションとの組み合わせが比較的多く見られる。
連際第1回「【導入効果】未来予測に進む『BI』、中堅・中小企業のメリットは?」で解説したように、BIには新たな役割が求められるようになってきた。過去のデータを基にした判断だけでなく、「今、まさに起きていること」(現在)を把握してその場で対策を講じたり、「今後想定される動き」(未来)を予測して計画を立てる、といったことだ。
BIに求められる役割の変化は、同時に新たな課題も生じさせている。「あらかじめ決められた切り口に従って、決められた形で集計/分析の結果を表示する」といった従来のニーズとは異なり、今後のBIには、「その場で指定された切り口に従い、その場で指定された集計/分析の結果を表示する」ことが求められる。そのため、対象となるデータ量は格段に大きくなり、処理内容も複雑になる。一方、集計/分析に要する時間は短縮しなければならない。その結果、従来のシステムではBIの新たな役割をこなすことが難しくなってきたのである。
こうした課題を解消するため、ベンダーからはさまざまな解決策が提示されている。
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