Googleのサービスは企業で使えるか?事例に見るGoogle導入の勘所

Googleのサービスは、今やMicrosoftのコラボレーションソフトウェアと置き換えることができる正真正銘の代替ソリューションとなった。

2013年07月16日 08時00分 公開
[Cliff Saran,Computer Weekly]
Computer Weekly

 米Googleの未来を担うのは、エンタープライズビジネスだ。Googleのコラボレーションソリューションは、さまざまな可能性を秘めている。しかし、IT役員たちはGoogleの採用に踏み切れるだろうか?

 Googleは、コラボレーションサービスとGoogle+ソーシャルネットワークから成るSaaS(Software as a Service)ツールで有名だが、クラウドでのビジネスインテリジェンスを実現するBigQuery(PaaS)や、最近ではIaaSとなるGoogle Compute Engineも提供している。

Computer Weekly日本語版 2013年7月10日号無料ダウンロード

本記事は、プレミアムコンテンツ「Computer Weekly日本語版 2013年7月10日号」(PDF)掲載記事の抄訳版です。本記事の全文は、同プレミアムコンテンツで読むことができます。

なお、同コンテンツのEPUB版およびKindle(MOBI)版も提供しています。


 教育系出版社の英Pearsonは、Googleモデルを採用してオンプレミスのMicrosoft Office+SharePointによるソリューションよりも柔軟に、コラボレーションソフトウェアを運用している。

 Office 365とSkypeが登場する以前は、米Microsoftのコラボレーションソリューションは、Windowsプラットフォームを基盤としていた。従来のIT中心のパラダイムではMicrosoftのやり方はうまくいっていたが、世界は移り変わっている。

 現在ユーザーは、Dropboxなどのサービスやその他のコンシューマー向けオンラインストレージサービスを使って、クラウドでドキュメントを共有したり、私物のAndroidまたはiOS搭載スマートフォン/タブレットを使って、会社のメールにアクセスするようになった。

 全世界で1400人の従業員を擁する経営コンサルティング企業の英Grass Roots Groupのダニー・アティアスCIOは、オンプレミスのコストと複雑さを敬遠し、2012年2月に同社のメールシステムをOutlookからGmailに移行した。同社は、ソリューションプロバイダーの米AppsCareに委託して、全ユーザーの受信トレイとフォルダ構造をGoogleにレプリケートした。

 同社はGmailへの移行後間もなく、コラボレーションにGoogle Docsを、オンライン会議にGoogleハングアウトを使い始めた。また、Google Playアプリストアから入手した各種サードパーティーのアプリも利用している。

 「弊社の環境に統合されているツールは、少なくとも3つある。リアルタイムのプロジェクト管理機能を提供するSmartsheet、さまざまなテクニカルダイアグラムを作図できるLucid Chart、シンプルなCRM機能を提供するInsight.lyだ」(アティアス氏)

 アティアス氏によると、これらのクラウドツールの導入とライセンス管理は簡単だという。「ライセンスはプールに集約され一元管理できるため、ライセンス超過になることはない。また、ソフトウェアをデプロイする必要がない。何もしなくてもGoogle環境の“More(もっと見る)”メニュ−に表示される」

 Grass Roots Groupで利用しているアプリの提供元は著名なベンダーではない。アティアス氏は事前調査として、ダウンロード数やユーザーのコメントをチェックし、ヘルプデスクに問い合わせるなどしている。

アーリーアダプター(初期採用者)の事例

 英Rentokil Initialは5年前、メールとコラボレーションにGoogle Appsを初めて世界規模で導入した企業の1社だ。初代Androidフォンが市場に登場したころで、Google Appsはまだ歩き始めたばかりだった。当時Googleは、Google AppsをMicrosoft Officeに代わる無料のソリューションと位置付け、コンシューマーをターゲットにしていた。

 RentokilのITグローバルオペレーション担当ディレクター、ピート・ショーニー氏は、RentokilとGoogleの両社はこの経験から教訓を得てきたと話す。「われわれは、コンシューマー製品を従来のエンタープライズ環境に取り込もうとしていた。(その過程で)共に成長してきた」

 2009年以降、この関係は変化している。「成長したというのは、Googleが今ではエンタープライズITを認め、IT部門がGoogleの顧客だと見なすようになったということだ」とショーニー氏は話す。

 一方、RentokilのIT部門は、変化に順応する必要があった。そしてユーザーを新しいプラットフォームに移行する必要があったが、Googleの流儀に合わせて作業しなければならなかった。

 「ベンダーとしてGoogleに対応する方法を大幅に変えた」とショーニー氏は話す。従来のITベンダーの大半と異なり、Googleの仕事のペースはエンタープライズITと同じではない。従って、長期のリリースサイクルという概念は存在しない。「変更管理を使って、イノベーションの波に対抗することはできない」

 従来の変更管理は、アップグレードによるサーバのダウンを防ぐことが目的だ。「Google AppsはWebベースのソフトウェアサービスなので、機能を削除することはなく、追加するだけだ」(ショーニー氏)

 ただし、ショーニー氏は最近、Googleが機能の提供を停止した際に、多少の問題を経験したことを認めている。

続きはComputer Weekly日本語版 2013年7月10日号にて

本記事は抄訳版です。全文は、以下でダウンロード(無料)できます。


ITmedia マーケティング新着記事

news098.jpg

イーロン・マスク氏がユーザーに問いかけた「Vine復活」は良いアイデアか?
イーロン・マスク氏は自身のXアカウントで、ショート動画サービス「Vine」を復活させるべ...

news048.jpg

ドコモとサイバーエージェントの共同出資会社がCookie非依存のターゲティング広告配信手法を開発
Prism Partnerは、NTTドコモが提供するファーストパーティデータの活用により、ドコモオ...

news112.jpg

「インクルーシブマーケティング」実践のポイントは? ネオマーケティングが支援サービスを提供
ネオマーケティングは、インクルーシブマーケティングの実践に向けたサービスを開始した...