スタートアップだけでなく経営判断をも変える「リーンアナリティクス」自分のビジネスに必要な指標は何か?

「いずれビジネススクールで教えられる標準的な手法になる」と話す第一人者の話を基に、リーンアナリティクスを理解しよう。

2013年07月22日 08時00分 公開
[Brian McKennaComputer Weekly]
Computer Weekly

 「本当に重要な1つの指標」に注目することは、『Lean Analytics(リーン・アナリティクス)』の著者、アリステア・クロール氏とベン・ヨスコビッツ氏が提唱するリーンアナリティクスアプローチの原理の1つだ。

 クロール氏は、「事業を運営する方法と経営判断を下す方法に、抜本的な変化」が起きているとする。同氏らの著作『リーン・アナリティクス』はエリック・リース氏の『リーン・スタートアップ』と共通する部分が多いが、クロール氏はその違いを次のように説明する。「リーンアナリティクスは、スタートアップだけでなく、経営判断における変化でもある。3年後にはこれが当たり前になり、5年後にはビジネススクールの必須科目になるだろう」

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ビジネスのアイデアを試す

 クロール氏とヨスコビッツ氏の言う「リーンアナリティクス」の基軸は、クラウドやソーシャルメディアテクノロジーに裏打ちされたデータの民主化である。両氏は、現在はこれまでより格段に、ビジネスの仮説をすぐに試し、商品を本当に気に入ってくれるのはどのような顧客かを特定しやすくなっていると論じる。

 クロール氏は、米Lit Motorsを例に挙げて次のように説明している。Lit Motorsは、車体と乗員をすっぽりと覆うデザインの電動バイクを製造・販売している。「Lit Motorsの最大のビジネスリスクは、顧客ターゲットを正しく設定できるか否かだった。Lit Motorsは、70万ドルのシード投資を受けてプロトタイプを展示するショールームを用意。プロトタイプに触れる人々を観察して、予約注文を受けた」

 クロール氏は、スタートアップの創設者には「強い創造指向性」があり、そのために、データを使って“売れるモノ”を洗い出すことができないと指摘する。

 「売れるモノを作るのが当然だと思えるが、会社を興すような人間というのは、自分にとって理屈に合わないと感じられる将来の予測は、全て価値がない」とクロール氏は話す。

 「起業家は本質的に、何かを創るのが好きな人間で、別の見方で物事を思い描く必要があるために現在は異質と思われるビジョンを持つ。従って、多数派のフィードバックは受け付けず、自分が創りたいものを創り上げる方向に物事を解釈する」

的を射た質問をする

 データを無視する方向に向かう、この起業家が持つ認識のゆがみの処方箋として、クロール氏とヨスコビッツ氏は、2013年6月7日にロンドンのイーストエンドで、英Geckoboard主催のリーンアナリティクスについてワークショップを行った。クロール氏は、このワークショップで「データ駆動型の分析的思考をビジネスに適用し、より短い時間で正しい製品と正しい市場を見つけている人物を幅広く紹介する」としている。

 「しかし、リーンアナリティクスが当てはまるのは小規模なスタートアップだけではない。そこには、従来のビジネススクールでは教えていない、破壊的な(反復型の)思考スタイルがある」とクロール氏は言葉を続ける。

 「従来であれば、MBA保持者が経営判断をし、ビジネスアナリストが要求されたリポートを提出する。現在では、MBA保持者が自分でデータを探索するようになった。以前よりもインタラクティブな分析ツールが一般に使われるようになったことが、重要な変化の1つだ」(クロール氏)

 「明日のビジネスリーダーは、データなしで他者を動かすことができる人物というよりも、自分の直感は仮説にすぎないことを自覚し、鋭い質問をする人物になる。ビジネスは、その質問に耐えられる必要がある。以前は、質問ばかりする人物は煙たがられていたが」

データ駆動型のリーンなスタートアップ

 クロール氏によると、データ駆動型のリーンなスタートアップがたどるべきステップは次のようになる。

続きはComputer Weekly日本語版 2013年7月10日号にて

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