潜水艦や戦闘機を製造する英BAE Systems MAIは、社内に存在する7つのERPシステムを一元化する大プロジェクトを開始した。各部門の利害や慣習を克服するために編成したプロジェクトチームとは?
英国の国防産業企業BAE Systems Military Air and Information(以下「BAE Systems MAI」)は主要アプリケーションをアップグレードするために特別チームを結成した。だが、そのメンバーのうちIT部門は半分以下。チームの大部分は、技術部門ではなく各業務部門から選出された。
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世界的な防衛関連企業で、航空機、防衛、安全保障などの領域の最大手、英BAE Systemsの一部門であるBAE Systems MAIは、7つあったERPシステムのアップグレードおよび統合を実現するプロジェクトの設計フェーズにさしかかった。この大型プロジェクトは、ERPシステムの統合を目指して奮闘中だが、業務プロセスのオーナー同士がお互いに自分たちのやり方がベストだと主張して譲らず、目標そっちのけの泥仕合になる恐れがある。
プロジェクトを率いるジョン・ブース氏はそのリスクを見越して、業務部門からもメンバーを集めた。「私のコアチームに70人を招集した。メンバーのうち40〜45人は各業務部門から来てもらった。各部門で使用しているアプリケーションに精通している従業員を、プロジェクトメンバーに指名した」(ブース氏)
「全ての業務部門から集まったメンバーにプロジェクトで活躍してもらうことで、今までのところ、メンバー間の衝突を最小限にしている。その一方でコアチームは、各業務部門と連絡を取り、問題の分析をより深いレベルまで掘り下げることができる特定分野の専門家の協力を得ている。
「例えば製造部門のプランニングエンジンの動作を確定するのは、非常に専門的な活動だ」とブース氏は説明する。「コアチームはプロジェクト全体をまとめる作業を担当するが、必要に応じて業務部門の専門家に連絡を取っている。このプロジェクトに関して現在までに連絡を取り合った人の数は、200人にもなる。協力してもらうこともあるし、活動に対する問い合わせをもらうこともある」
BAE Systems MAIのERPシステムは、度重なる企業合併のたびに拡大してきた。その経緯から、作業効率を上げるためにはリエンジニアリングが必要だったとブース氏は振り返る。
「業務プロセスの再編成が必要なのは分かっていた。 それぞれのERPシステムが独自の業務プロセスを持ち込んだままで運用を続けていたからだ。だから全社共通のコアとなる業務プロセスをまとめたい。われわれは 『これが当社流のやり方だ』と言えるシステムを実現したい」
ただしBAE Systems全社でERPシステムを一本化することは目指していない。BAE Systemsは、民間利用の航空機から海上や陸上の軍備といった多岐にわたる製品を手掛けているし、システムも独SAP製品と米Oracle製品の両方を利用しているからだ。「このプロジェクトは、BAE Systems傘下の企業全社から期待されているものとはいえない。企業の体質は各社さまざまだし、レガシーアプリケーションを利用しているところも多い」とブース氏は語る。
「当社の製品は、担当部門によって大きく異なる。例えば、弾薬の製造ならば大量生産のプロセスで進めるが、潜水艦の建造に同じアプローチを適用するのは無理がある。大量に作るわけではないし、要件も特殊だ。このように、作るものによって製造工程は全く違うし、製造の拠点も世界各地に点在している」(ブース氏)
Typhoon、Hawk、F-35 Lightning IIなどの戦闘機を世に送り出してきたBAE Systems MAIは、RFI(情報提供依頼書)を複数のベンダーに送付してRFP(提案依頼書)のプロセスも実行した結果、米Inforを今回のサプライヤーとして選択した。その理由として、同氏は以下の点を挙げた。
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