HDDの大容量化に伴い、RAIDによるデータ保護は限界を迎えている。その代わりに注目されているのが、「イレージャーコーディング」という手法だ。これでRAIDの時代は終わるのだろうか?
6TバイトHDDが登場するなど、HDDの容量が徐々に増えるにつれて、ハードウェア障害に対するデータ保護手段としてのRAIDの有効性が問題になっている。これに呼応するように、イレージャーコーディングというHDD障害に対する保護手法が登場した。RAIDは大容量HDDの時代に即した保護手法ではなくなっている。容量が増加すれば、ビットエラーが発生する確率も高まるからだ。
HDDに障害が発生すると、RAIDの再構築プロセスが始まる。その際、第2、第3のメカニズム障害が発生しても保護は行われない。つまり、容量の増加によって通常運用時に障害が発生するリスクが高まるだけでなく、RAID再構築時のリスクも大幅に高まる。
再構築にかかる時間は、以前は数分〜数時間程度だった。だが、ディスク転送速度はHDD容量の増加に見合うほど高速化されたわけではないため、大規模なRAID再構築には数日以上かかるようになった。その結果、RAIDに代わる手法が必要だという議論となり、その1つがイレージャーコーディングだ。
イレージャーコーディングはデータ保護方式の1つで、データを複数のフラグメントに分割する。この各フラグメントに構成可能な数の冗長データを付加して拡張およびエンコードし、複数のHDD、ストレージノード、または地理的に離れた場所に保存する。
イレージャーコーディングの目的は、アレイ内の別の場所または地理的に離れた場所に保存されたデータに関する情報を使用して、破損したデータを再構築することにある。
データ再構築の仕組みは、一連の数字を表す数学関数を作成することで、データの正確性チェックや喪失データの回復を可能にするというもの。これは、多項式補間やオーバーサンプリングとも呼ばれ、リード・ソロモン符号を使用して実装されることが多いイレージャーコーディング手法の鍵となる考え方だ。
リード・ソロモン符号は1960年に考案され、CDやDVDで広く使用されているエラー訂正方式で、ディスク表面の一部が不明瞭でも再生機器が正しい情報を計算することができる。この符号はNASAでも使用されており、はるか遠くの宇宙探査機(ボイジャー探査機など)からの信号の受信にも使われている。
イレージャーコーディングは、ストレージアレイの2つ以上の要素の障害を許容するため、一般的に導入されているRAIDよりも高い保護効果を実現する。
米Dragon Slayer Consultingのマーク・スタイマー氏は次のように話している。
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