今、仮想化されていない「ベアメタル」サーバが注目されている。仮想マシンではなくDockerを使うケースも増えてきた。仮想化せずにベアメタルサーバを使うメリットとは?
クラウド市場では、2009年に各プロバイダーがサービスの提供を開始したベアメタルクラウドが、最近あらためて注目を集めている。 ただしベアメタルが主流に加わってきたのはつい最近のことだ。米MirantisがOpenStack Expressを公開したこと、米IBMが買収したSoftLayerが時間制課金のベアメタルサーバの提供に踏み切ったこと、米Rackspaceが単一テナントでベアメタルのIaaSの提供を開始したことなどが相次いだことがきっかけとなった。
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クラウド上のベアメタルサーバは、クラウドに似たサービスモデルを利用して実現する。しかしこのサーバは仮想化しない。また、ハイパーバイザーを稼働させることもない。従って、ベアメタルクラウドは仮想化によるオーバーヘッドが発生しないという利点はあるが、(従来のパブリッククラウドに比べて)柔軟性、拡張性、効率が損なわれている。
米Internapは最近、同社のベアメタルクラウドサービスを拡大し、香港とロンドンでも展開している。英Canonicalは、同社のJujuツールチェーンを使ってベアメタル環境のプロビジョニングを実行するサービスを「Metal as a Service(MaaS)」と銘打って提供している。
一方SoftLayerが提供している最新のベアメタルサーバは、30分以内に展開作業を完了できるもので、時間単位で課金され、サーバのパフォーマンスは物理サーバのそれと同等だ。このベアメタルインフラは、汎用性が非常に高い。SSDストレージ、冗長性を備えた電源、GPUなどのオプションが用意されている上に、専用ラックも確保されていて、サーバとの通信については低レイテンシが保証されている。
RackspaceのOnMetalクラウドサーバと、Mirantisが集中して取り組んでいるOpenStackクラウドは、どちらも2014年の夏に提供が開始された。こうした事実から、各プロバイダーがベアメタルに急速に注力している様子がうかがえる。
そこで、ベアメタルクラウドが躍進を遂げた4つの要因を以下に挙げる。
AWSやMicrosoft Azureなど、高密度の仮想マシン(VM)ベースのホスティングサービスを提供しているコモディティ化したIaaSのプロバイダーの場合、演算パワー、ストレージ、ネットワークのサービスについて、顧客がパフォーマンスを予測することは困難だ。また、パフォーマンスは安定していない。
Hadoopなどの入出力の頻度が高いワークロードをVM上で展開すると、パフォーマンスの不安定さがより顕著になる。ビッグデータのワークロードは、拡張や縮小の自由度が高いサーバ環境上でデータノードを稼働させる方が有利なように思えるが、実際は物理サーバに移行する例が増えている。
パブリッククラウドのインフラを利用する場合、CPUやIOPSのスループットを向上させるには、顧客はVMのオーバープロビジョニングやブロックストレージの容量を大きめに確保するなどのテクニックに頼る以外に手の打ちようがなかった。
ベアメタルならばハイパーバイザーを使用しないので単一のテナントとなり、パフォーマンスの向上が期待できる。AWSと競合しているプロバイダーは、AWSの顧客がよく不満を表明している「口やかましいご近所」(クラウド上の他社リソースとの競合)問題への有効な対抗策として、この点を利用している。
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