仮想GPUは、物理的なエンドポイント端末の代わりに、仮想マシン(VM)のホストサーバ側でグラフィックスを描画するためのコンピュータプロセッサである。
仮想デスクトップやリモートデスクトップ環境は、高性能なグラフィックス機能をエンドポイント端末に提供することが特に困難だ。GPUはもともと、グラフィックスを多用するアプリケーションの画像処理をCPUからオフロードするために開発されたハードウェアである。米NVIDIAは2012年に仮想GPUを発表し、問題の解決に乗り出した。
仮想GPUは、仮想デスクトップやリモートデスクトップ環境でのグラフィックス機能を向上し、クライアントPCと同等のグラフィックス性能を実現する。3Dグラフィックスを多用するアプリケーションや、CADを利用する際に有用だ。
仮想GPUは仮想デスクトップ上にグラフィックスをレンダリングする機能だ。仮想デスクトップは物理PC上ではなくサーバ上で動作するため、グラフィックス処理の大半はサーバ側で行われる。ユーザーが仮想デスクトップにアクセスするのに使用する端末は物理GPUを搭載しているが、このGPUは仮想デスクトップ環境を表示するためだけに使われる。実際にグラフィックス処理を実行するのはサーバの仮想GPUなのである。
仮想GPUに関して知っておくべき最も重要なことは、幾つかの選択肢が存在するということだ。このため、ユーザーの仮想デスクトップのニーズおよびハイパーバイザーの機能に基づいて仮想GPUを選択しなくてはならない。例えば、全ての従業員がワープロや会計処理といった基本的な業務で仮想デスクトップを使用するのであれば、GPUの選択にさほど悩む必要はないだろう。グラフィックス機能を多用するアプリケーションが仮想デスクトップ上で動作しないからだ。一方、仮想デスクトップユーザーがCADや動画編集、3Dレンダリングなどを行う場合、仮想GPUの選択が非常に重要になってくる。
米NVIDIAのジェネラルマネジャー、ジェフ・ブラウン氏は「VDIの場合、グラフィックスは通常、サーバのCPUでレンダリングされた上でエンドユーザーに配信される。しかしグラフィックスのレンダリングは、CPUが扱える逐次型コンピューティング問題ではなく並列型問題なので、グラフィックスパフォーマンスは標準以下にとどまっていた」と話す。
「仮想化されたGPUをサーバに追加することによって、グラフィックスデータはCPUを迂回して仮想GPUに直接送られ、エンドユーザーに出力される」とブラウン氏は説明する。つまり、CADなどのグラフィックス主体型アプリケーションは、VDIを利用してリモートワーカーに配信することで高いパフォーマンスを確保できるということだ。
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