容量当たりのコストはHDDと同等という低価格が魅力のTLCフラッシュとは何か? その構造とメリット、今後の展望を紹介する。
米Dellは初めて、1セル当たり3ビットを使うTLC(Triple Level Cell)フラッシュのストレージアレイを発売した。同社のストレージアレイ製品であるSCシリーズにはSLC(Single Level Cell)とMLC(Multi Level Cell)タイプのフラッシュメモリがラインアップされており、今回TLCが加わった形だ。なお、このシリーズには昔ながらのHDDも含まれている。
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そもそも、TLCフラッシュストレージとはどんなものなのか。どのような用途に適しているのか。
TLCフラッシュは、既存規格のフラッシュチップに比べて、より多くのデータを格納することができる。そのため、コストがほぼHDDのレベルにまで低減した。TLCフラッシュはGバイト当たりのコストが1.66ドルで、容量当たりのコストは回転数15,000rpmのHDDとほぼ同じであるとDellは説明している。
では、性能で比較した場合はどうか? 同社によると、新製品のTLCフラッシュは韓国Samsung Electronicsから供給を受けているもので、性能は15,000rpmのHDDの24倍だという。ランダム読み取りについての1秒当たりの入出力値(IOPS)は18万(ブロックサイズは4Kバイト)を実現する。
また、これはドライブが1台の場合の値だ。複数台のドライブを連結してデータもストライプ化すれば、フラッシュメモリ並みのIOPS値を実現する。ただしこれはあくまで読み取り性能の話だ。
ブロックサイズが4Kバイトの場合、ランダム書き込みのIOPS値は1万5000となっている。読み取り時に比べるとずっと低速だ。つまり、TLCフラッシュは読み取りが多いワークロードに適しており、15,000rpmのHDDよりもはるかに性能がまさっているのでリプレースの選択肢となり得る。
Samsungは同社のTLCドライブ、PM1633については5年間の動作保証をしている。Dellはサポート対象のアレイにこの製品が含まれている場合、障害時は無償でリプレースするサービスを提供している。このような大胆な施策を実行できるのは、チップの製造工程にその一因がある。Samsungは今回、ファブリケーションプロセスにおいては最小値の限界である10ナノメートル(nm)を切ろうかという微小化の方向を諦め、30ナノプロセスを採用して堅牢性を向上させた。
これは、TLCはMLCに比べて構造が複雑だからだ。フラッシュセル1個当たりの電子スイッチが増えるために、電荷検出時の要件も増える。また、干渉のスコープが大きくなりセルの微細化の失敗率も高くなる。特にセルを小型化すると困難が増える。
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