クラウドベースアプリプロバイダーのClarizenは、自社導入のためにオールフラッシュとハイブリッドフラッシュを徹底検証した。コスト的なメリットすら打ち消す、ハイブリッドフラッシュの欠点とは?
クラウドベースのコラボレーションツールプロバイダーである米Clarizenは、HDDベースのストレージを米Kaminarioのオールフラッシュアレイ(以下、オールフラッシュ)でリプレースした。ハイブリッドフラッシュアレイ(以下、ハイブリッドフラッシュ)の導入も検討したが、比較テストを実施した結果、オールフラッシュの圧勝だった。パフォーマンスの点で、ハイブリッドフラッシュには著しい遅延がみられたという。
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Clarizenは、世界4カ所(英ロンドン、オランダのアムステルダム、米ニュージャージー州、米カリフォルニア州)にある同社データセンターでクラウドベースのコラボレーションツールを世界中の顧客に提供している。
同社は最近、キャパシティーを拡大する必要に迫られた。また、社内システムのHDDストレージアレイ(メーカー名は非公開)で想定通りのパフォーマンスが出ないことが増えてきた。これらが市場調査を始めた理由だと、同社でマネージドサービス担当のバイスプレジデントを務めるマイア・ウジエル氏は説明する。
「ストレージを増設する必要があったが、当時利用していたストレージのプロバイダーは、パートナーとしてあまり親身になってくれなかった。われわれに接する態度は積極的とはほど遠く全くの受け身で、ライセンス契約更新の書類を年1回送ってくるだけだった」
ウジエル氏はさらに続けて次のように語る。「HDDベースのストレージには、パフォーマンスの問題があった。IOPS(1秒当たりのI/O数)の制限のために至る所でボトルネックが発生し、それがデータベース、バックグラウンド処理、バックアップ処理に影響していた。いよいよフラッシュストレージを試すべき時が来たと思った」
ClarizenはHDD、オールフラッシュ、ハイブリッドフラッシュの3種類の製品を調査した。各製品で本番環境のデータを使い、2カ月余りをかけて概念実証(PoC)を行った。
その結果ウジエル氏のチームは、オールフラッシュのパフォーマンスが他の2種の製品をはるかにしのぐことを確認し、Kaminarioのオールフラッシュ「K2」を同社のデータセンターに導入した。
Kaminario K2の仕様は次の通り。サイズは4〜26Uで、キャパシティーは7TB〜1.44PB、IOPS値は数百万。フラッシュドライブは400GBまたは800GBのMLC(Multi Level Cell)タイプだが、TLCタイプのドライブも開発ロードマップに含まれている。
Kaminario K2の場合、コモディティのハードウェアと独自のOS、SPEAR(Scale out Performance and Resilient Architecture)を使ってオールフラッシュを構築する。Kaminarioによると、書き込みを分散させることと、書き込みバッファを設けることでホットスポット(負荷が集中する部分)の発生を回避しているという。また、フラッシュの利用期間は7年を想定している。
Kaminarioのアレイでは、ブロックアクセス(ファイバーチャネルおよびiSCSI)、シンプロビジョニング、インラインデータの重複排除と圧縮をサポートしている。一方、将来実装予定の機能として、スケールアップも挙げられている。これは、演算装置を追加することなくストレージの媒体を増設するもの。また、増設後でも数百万のIOPS値を維持することができる。
ウジエル氏の見解は次の通りだ。
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