Windows XPから7への移行を機会に、仮想デスクトップを利用したゼロクライアント環境を構築。これにより多くの課題が解決し、働き方が大きく変わったという。
米Microsoftが「Windows XP」の製品サポートを終了したことで、組織内のデスクトップ戦略を見直した企業や団体は多かった。スイスのバーゼルにある、特定分野に特化した医療施設「St Claraspital特別医療センター」(以下「Claraspital」)も例外ではない。
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急性疾病の治療のみを行うClaraspitalは、腹部の内臓疾患ならびに腫瘍関連の医療センターと、心臓、肺、整形外科的な問題に対処する医療センターを運営している。
Claraspitalは「Windows 7」に移行するしかないと認識し、この機会を利用して院内のIT利用効率を上げるための変革を成し遂げた。この成果が、2015年10月にバルセロナで開催された「VMworld 2015 Europe」における「Best of VMworld Europe User Awards」受賞につながった。
同病院の従来のシステムには、院内のさまざまな場所からユーザープロファイル情報にアクセスするのが困難であるという問題があった。スタッフは病院内を頻繁に移動する。だが、患者の記録を開いたまま、院内の移動先でそれを参照することができなかったと、ClaraspitalのCIO(最高情報責任者)であるイブ・ラウケマン氏は説明する。
「例えば、以前はこんな調子だった。まずシステムにログインして(しばらく待つ)、その画面を見ながら作業をする。すると緊急呼び出しを受信したので、アプリケーションを閉じてログアウトする(しばらく待つ)。それから急患がいる部屋に行き、再びログインして(また少し待つ)、アプリケーションを1つまたは複数、再起動する」
その結果、医師や看護師は1日20〜30分も、「コンピュータの応答を待つ」ために時間を取られていたと、同氏は付け加える。
おりしも、Claraspitalは施設を拡張するための増築工事中だったためにスタッフの移動量は増えており、問題は一層深刻化していた。
この事態への対策として、Claraspitalは「ゼロクライアント」、つまり原則としてクライアント側では処理を実行しないタイプの製品に移行する決断を下した。
このプロジェクトの真の課題は、ユーザープロファイル情報の管理効率を向上させる方法を探すことだった。
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