「モバイルデバイスが全ての元凶」と力説する評論家は信じなくていい
モバイルセキュリティでIT管理者が優先すべき“神経の注ぎ先”
BYODなどの普及で、種々雑多なモバイルデバイスが企業中枢のデータにアクセスできる時代になった。セキュリティ担当者には非常に好ましくない状況だが、全てを自分で受け止めて深刻になる必要はない。
関係者が警告するモバイルデータセキュリティの脅威については少なからず誇張がある。そのため、IT管理者はリスクを取り除き、モバイルデバイスにある企業データを保護するために必要なことを見極めなければならない。
モバイルデバイスが企業のアプリケーションやデータにアクセスできるようになると、モバイルデバイスは差し迫ったセキュリティの脅威となる。従業員はあっけないほどにモバイルデバイスを紛失する可能性がある。パスコードは絶対確実ではなく、多くのユーザーは設定すらしていない。
モバイルデバイスベンダーは、ハードウェアとソフトウェアでセキュリティ強化に取り組み続けている。ハードウェアにおける対策として、プロセッサ、センサー、生体認証技術が向上し、ソフトウェアの対策として、OS、ブラウザ、メールクライアントにセキュリティ機能を追加している。しかし、重要な企業データが、閉じた社内ネットワークから外に出てWebサーバやクラウドに存在するようになったため、対処しなければならないセキュリティの課題は山積みだ。最も注意すべきモバイルデータセキュリティの脅威は何だろうか。逆にIT管理者が懸念しなくても問題ない課題というものは存在するのだろうか。
モバイルデータセキュリティに関する警告の中には、確かに真実ではあるものの、その影響を誇張している場合もある。例えば、IT部門が対処すべき潜在的な攻撃対象は数多く存在している。Bluetooth、NFC、GPSなどが、これに該当する。従業員が「Google Drive」や「Dropbox」など、その企業が承認していない個人ファイル共有サービスを業務に使用すると、その企業はデータ漏えいに対して特に脆弱(ぜいじゃく)になる。
モバイルデバイスの紛失、承認していないモバイルアプリの導入、パスワード保護の不徹底といったモバイルデータセキュリティの脅威も増加する一方だ。持ち運べるという特性により、モバイルデバイスは盗難に遭いやすい。そのため、IT部門にとっては、リモートでデバイスをロックダウンしてワイプ(削除)できることが重要になる。
しかし、BYOD(私物デバイスの業務利用)の普及によって、IT管理者はデータのワイプや、特定の企業データに対する従業員のアクセス制限が難しくなっている。ユーザーがデバイスを所有しているため、企業は管理者が合法的にできることを特定しなければならない。綿密かつ適切なポリシーを実施していなければ、IT部門は従業員が所有するデバイスにある企業データを保護するために、必要な対策を講じることはできないだろう。
ただし、他のセキュリティ対策は重要度が下がる。確かにモバイルデバイスがマルウェアやウイルスに対して脆弱なのは紛れもない事実だ。しかし、新しいOSが登場するたびに、モバイルデバイスベンダーは脆弱性の軽減機能を拡張している。また、モバイルデバイスのOEMは、ソフトウェアの悪用でデバイスに追加ダメージを与えない機能を用意してきた。具体的には、改変されたOSが起動できないようにする機能やカーネルの整合性監視、より堅牢なサンドボックスやコンテナ化メカニズムなどだ。
社会に大きな影響を与えたセキュリティ侵害に関連したモバイルデータセキュリティの脅威に対する警告において、誇張は避けられない。だが、このようなセキュリティ侵害が実質的にはモバイルデバイスと無関係であることに留意したい。ハードウェアやソフトウェアのセキュリティ対策にもかかわらず、全ての脅威を確実に捕捉できる完璧なハードウェア構成やネットワーク保護などというものは存在しない。
それより、既存のデータストアやアプリケーションプラットフォームにリモートで安全にアクセスできる適切なインフラを実装するために、モバイルファーストのセキュリティについて専門の技術を持つITスタッフに投資することが重要だ。
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