【連載コラム】医療ITの現場から
2016年度診療報酬改定、「医師事務作業補助体制加算」で勤務医は楽になるか?
「医師事務作業補助体制加算」の導入が医師の負担軽減に一定の効果が見られるというアンケート結果を受け、2016年度改定で同加算の見直しが行われる。具体的な変更点はどのようなものだろうか?
「医師事務作業補助体制加算」(詳細は後述)の導入が医師の負担軽減に一定の効果が見られるというアンケート結果を受けて、2016年度改定で同加算の見直しが行われます。具体的には、「加算1の引き上げ」「算定できる病棟の拡大」「勤務場所の緩和」などです。
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医師事務作業補助体制加算とは
そもそも医師事務作業補助体制加算は、地域の急性期医療を担う病院(特定機能病院を除く)において、勤務医の負担軽減および処遇改善の体制確保を目的に、2008年に新設されました。具体的には、医師と事務スタッフとの間で、業務の役割分担を推進し、医師の事務作業を補助する専従者(医師事務作業補助者)を配置している体制を評価する診療報酬の加算制度です。
対象範囲を急性期から療養、精神、特定機能病院に拡大
今回の改定では対象を、急性期医療を担う病院から療養病棟や精神病棟まで拡大するとともに、特定機能病院についても加算1に限り評価の対象としました。医師をサポートするスタッフの配置が病院において重要視されていることを意味しています。次回、2018年度の改定では、診療所まで拡大することが期待されます。
書類作成・診療録の代行入力は場所を問わない
同加算は「入院初日」にのみ算定できるので、病棟へのスタッフ配置のみが可算の対象だと考えられがちですが、病棟業務以外に外来業務も対象にすることが可能です。また医師の指示下であれば、文書作成業務専門の部屋における業務も対象にすることを認めています。これは医師の勤務場所が、病棟や外来に及ぶことへの配慮によるものです。ただし加算1を算定する場合は、延べ勤務時間数の8割以上は、病棟または外来でしなければならないとされてきました。
今回の改定では、医師が患者の診療中に行う文書作成の補助業務(書類作成、診療録の代行入力)に限り、業務の場所を問わず「病棟または外来」での勤務時間に含められることになりました。現在、書類作成や診療録の代行入力は必ずしも、病棟または外来でされているわけではないという実態に即した配慮だといえます。
残るは業務範囲の見直し
医師事務作業補助体制加算が定める医師事務作業補助者の業務範囲は、医師の指示下での
- 診断書などの文書作成補助
- 診療記録への代行入力
- 医療の質の向上に資する事務作業ならびに行政上の業務への対応
に限定しています。
一方、以下については医師事務作業補助者の業務にしないことと定めています。
- 医師以外の職種の指示の下に行う業務
- 診療報酬の請求事務
- 窓口・受付業務
- 医療機関の経営・運営のためのデータ収集業務
- 看護業務の補助ならびに物品運搬業務
このため、同加算を算定する場合、医事課スタッフと医師事務作業補助者の兼務ができないのが現状です。
しかしながら、診療録の代行入力業務は、診療報酬の請求事務にも密接に関わっており、診療録の代行入力業務と診療報酬の請求事務業務を分けてしまうことは、電子カルテ(診療録システム)とレセプトコンピュータ(請求システム)を分けることと同様であり、電子カルテとレセコンが一体となって運用している現場では、かえって非効率になってしまいます。今後はこの部分についても見直しが行われることを期待します。
医事課と医師事務の垣根の問題
また病院では医事課、医療秘書課と分かれてしまうことで、セクショナリズムが発生しやすくなります。セクションを同じにして、スタッフがローテーションを組んで兼務する場合の方がうまくいくことも多いようです。特に診療所においては、受付と医師事務が兼務する場合が一般的であり、診療所へ拡大する際には「業務範囲」も併せて見直していただければと考えています。
著者紹介
大西大輔(おおにし だいすけ) メディキャスト株式会社 メディプラザ統括マネージャー
2001年一橋大学大学院MBAコース卒業後、同年日本経営入社。2002年に医療機関の“選ぶ”を支援する展示場「メディプラザ」の1号店を東京(神田)に立ち上げ、その後2003年にメディプラザ大阪、2005年にメディプラザ福岡を順次開設。2013年医師の右腕を育成する「電子カルテクラーク導入プログラム」をプロデュース。専門の医療IT分野については、医師会、保険医協会などの公的団体を中心にセミナー講師を多数実施。
【関連サイト】
医療関連商品カタログ「メディプラザ」
医師の右腕を育成する「電子カルテ+クラーク養成講座」
医院・クリニックのオフィシャルホームページ制作システム「Wevery!」
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