セルフサービス型顧客サポート機能は、モバイルを利用する従業員の仕事の質や効率を高める効果もある。そのためには「従業員も顧客と同じ」という視点が重要になる。
消費者向け商品を販売する大手各社は、ユーザーエンゲージメントを高める手段として、モバイルデバイスの位置情報機能やメッセージング機能、カメラ機能などを駆使している。だが、こうした発想を企業は業務にまだ取り入れていない。
企業の業務においてモバイルは欠かせない要素になっているのに、モバイルのユーザーサポートとエンゲージメントサービスは、多くの企業戦略から欠落している。
モバイルで仕事をする従業員を社内顧客と見なし、消費者向けビジネスと同じようにモバイル顧客サポートを提供すれば、同様の効果を得るはずだ。それなのに、従業員対象のサポートだからといってヘルプデスクから切り離すべきではない。
それは、業務用のモバイル利用では、ワークフローが複雑な場合が多く従業員がフィードバックを返す機会があまりないことが問題の背景にあるからだ。アプリが進化して複雑な処理を行うようになればなるほど、それを利用する従業員がアプリ内のサポート機能を必要とする。ユーザーエクスペリエンス(UX)デザインが悪いアプリをユーザーが受け入れないのと同じように、モバイル顧客サポート機能を用意していなかったりあっても使いにくかったりするアプリもまた、ユーザーは受け入れない。
Lopez Researchの調査データによると、65%の企業は、1年以内に10案件以上にも上る業務用モバイルアプリの開発を計画している。これはまさに従業員向けのモバイル顧客サポート機能を導入する好機だ。昨今の消費者対象マーケティングでは、時刻や位置情報などに応じたメッセージをターゲットユーザーに送るため、プッシュ通知機能をよく利用する。企業のモバイル従業員向けにも同じ機能を利用するべきだ。例えば、経費報告書の提出期限や建物の保守作業の日程をプッシュ通知で従業員に知らせることができる。
社内アプリにセルフサービス機能を組み込めば、従業員は、基本的な疑問を自分で解決できるようになるだろう。モバイル顧客サポートサービスとして、通知機能やフロアプランなどのマッピングサービス(会議室やカフェテリアを探す機能など)、特定の場所における時間管理機能(顧客訪問記録や入退記録など)も追加できるだろう。この対応によって、モバイルとそれ以外のチャネル間でデータを損失することなく従業員が操作を開始し、中断、再開できるようにする。
セルフサービス型顧客サポートを社内アプリ内のカスタムページとして用意し、そこから特定の問題に関するコンテンツへリンクするのもいい。そのようなコンテンツでは、アプリ内セルフサービス、チャット、イメージキャプチャー、オーディオキャプチャー、社内ヘルプデスクやコンタクトセンターとの連携やビデオ通話などの機能を提供する。こうしたコンテンツを作成するための社内リソースがない場合や既製品を利用したい場合は、SaaS(Software as a Service)を導入してアプリに組み込む方法もある。
社内向けに効果的なモバイル顧客サポートサービスを提供するには、適切なコンテンツおよびエキスパートと従業員を結ぶことが必要になる。それを実現するのは社内コラボレーションツール(メッセージング、音声、ビデオなど)との連携だ。そのように、人々を直接つなぐためには、社内のソーシャルネットワークと人材管理ツールのプロファイル情報を充実し、問題を解決できる適任者を見つけるようにしなければならない。こうした情報をシステム間で共有するために、IT部門でAPIを公開するなどの作業も必要になる。
企業でモビリティを利用すると、従業員間の一貫性と生産性を高める機会が得られる。その機会を活用するには、社内モバイルアプリにセルフサービス機能とコラボレーション機能を追加し、現行のITサービスデスクの役割やコミュニケーションスイーツと連動させることが必要だ。
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