セキュリティを重視するあまり、従業員のプライバシーや生産性を軽視した施策は成功しない。モバイル端末管理を確実なものとするには、どこに注意すべきなのか。
前編(Computer Weekly日本語版 11月15日号掲載)では、成長を続けるモバイル端末管理(MDM)やエンタープライズモビリティー管理(EMM)市場と、エッジコンピューティングというトレンドについて解説した。後編では、IoTや一般データ保護規則(GDPR:General Data Protection Regulation)とMDM、そして新たなトレンドについて解説する。
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MDMの分野で、重要であるにもかかわらずあまり議論されなかった要素が1つあり、ひそかに注目を集めつつある。それは、「端末」において重要なものは何か、ということだ。
コネクテッドデバイスおよびモノのインターネット(IoT)の台頭と、シャドーITを社内ネットワークに組み込むことに苦しみ、MDMを頼みにしているIT管理者との関係性は、一見薄く感じるかもしれない。しかし2016年来の「Mirai」によるサイバー攻撃で見られたように、コネクテッドデバイスは組織に大きなリスクをもたらす。セキュリティが十分に確保されていない組織はそのリスクがより高いと、ID認証サービスサプライヤー、MobileIronのリードソリューションアーキテクトであるジェームズ・プルーフ氏は語る。
「MDMおよびEMMプロバイダーの課題は2つある。1つは、保護されていないコネクテッドデバイスのリスクをユーザーに認識してもらうこと。もう1つはコネクテッドデバイスを既存のMDMプラットフォームやツールに統合することだ。統合すれば、ITシステムの管理者は社内ネットワークに接続している全てのマシンを完全に把握できるようになる」と同氏は語る。
そうしたプロバイダーの1社であるSOTIのプロダクトマーケティング責任者、スネイル・サストリ氏もこの見解に同意する。端末管理の分野が現状のように急激な進化を遂げた理由は、もはや単純にモバイル端末から情報を取得するだけでは間に合わなくなったからだという。
「ネットワークに接続できる“モノ”は全て1つにつながる。これは昔から何となく言われてきたことだったが、テクノロジーの世界では、ついにその実現が見えてきた」と同氏は指摘する。「現時点で約230億個の“モノ”が、世界中のあらゆる通信ネットワークに接続されており、さらにその数は驚くほどの速さで増え続けている。そこでこのようなイノベーションに対応し、企業がそれを利用できるようにするため、MDMも高度なものになってきている」
IoTによって、産業界はスケール、相互運用性、機器やエンドポイントのセキュリティと管理などの面で新たな課題に直面しているとサストリ氏は主張する。
「IoTの普及はこれからも続く。特に産業用IoT機器の伸びは著しい。産業界は、中枢となる強固なプラットフォームを確保し、コネクテッドデバイスがあふれるWebの中で混乱なく業務を運営しなければならなくなる」と、同氏は予測する。
当面のところ、個人データや個人を特定できる情報(PII:Personally Identifiable Information)に関するプライバシー保護や機密保護の必要性は増大し続けるだろう。EUのGDPRなど、新しい法規が施行されるし、一般の人々の中でも、そうした情報がどれほど危険にさらされているか、気付く人が増えているからだ。
すると次に何が起こるのか。
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