CPU脆弱性「Meltdown」「Spectre」は、クラウド利用に甚大な影響を及ぼすことが危惧されていた。クラウドベンダーの対応により、想定よりも影響は小さくなりそうだ。
CPUに見つかった脆弱(ぜいじゃく)性「Spectre」と「Meltdown」は、パブリッククラウドに特に重大な影響を及ぼすのではないかと危惧されていた。初期対策のパッチを見る限り、クラウドのセキュリティとパフォーマンスへの影響は当初の予想ほど深刻ではなさそうだ。
今回見つかった脆弱性を悪用すると、攻撃者が同じ共有ホストサーバにあるユーザーのデータに不正アクセスできる可能性がある。そのため、マルチテナントクラウドモデルが格好の標的になるのではないかと懸念されていた。大手クラウドベンダー各社は迅速に手を打ち、この問題に対処した。
クラウドのユーザー側もシステムを更新する必要がある。対応するパッチを適用すれば、当面はデータへの不正アクセスを防ぐことができるようだ。むしろ、自社データセンターを運用している場合の方がクラウド利用時より対処は煩雑で、ハードウェアやファームウェア、ハイパーバイザー(仮想化ソフトウェア)などの更新が必要になる。
調査会社のForrester Researchでアナリストを勤めるクリス・ガードナー氏は「大惨事になるわけではないので、それほど慌てる必要はない。CPUのバグとしては恐らく近年最大規模だが、緩和策はある。CPUメーカーは既に長期的な解決に取り掛かっている」と語る。
ベンダー各社がMeltdownとSpectreに対する修正プログラムを迅速にインストールしたことは、各社の中央管理と自動化が機能している証拠でもある。
クラウド管理サービスベンダーCloudHealth Technologiesの創業者でCTO(最高技術責任者)のジョー・キンセラ氏は次のように話す。「自分たちでハードウェアベンダーやLinuxなどのオープンソースソフトウェアのパッチをインストールしていたら、これほど迅速には対処できなかっただろう。今回の件では中央管理が機能することが証明された」
セキュリティの専門家によると、MeltdownとSpectreを悪用した例は、今のところ見つかっていないという。一般的なハッカーがこれらを悪用するのは極めて難しく、より突破の容易な脆弱性の方がはるかに狙われやすい。
むしろ、これらの脆弱性に対処するためのパッチ適用プロセスが及ぼす影響の方が現実問題となっている。
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