マーク・アンドリーセン氏が語る
「AIの冬」はもう訪れない そう言い切れる2つの理由
AI(人工知能)についてはこれまで何度も大きく宣伝され、そのたびに期待が急速高まり、失望するというサイクルを繰り返していた。今回はこれまでとは違い「AIの冬」は訪れないだろうと著名なAI専門家は話す。
AI(人工知能)への期待が再び高まっている。
投資企業Andreessen Horowitzの設立者マーク・アンドリーセン氏は次のように話す。「今回はこれまでとは違うと評価している。AIテクノロジーは、現実的で細部まで配慮された方法で機能し始めている」
サンフランシスコで開催された「Spark + AI Summit」での講演で、アンドリーセン氏はこれまで少なくとも5回のAIハイプサイクルがあったと話した。ハイプサイクルとは調査会社ガートナーが提唱する技術の成熟度などを表した図である。AIが進化する過程では、テクノロジーの小さな進化が過度な期待を生み、実際にはその期待に及ばないという現象を繰り返してきた。
今回は「AIの冬」は訪れない
今回は状況が違うとアンドリーセン氏は考える。同氏は、2012年に開催された「ImageNet Large Scale Visual Recognition Challenge 2012」(ILSVRC2012)をターニングポイントに挙げている。同大会では、画像認識と分類のタスクで初めてアルゴリズムが人間を上回った。
それ以降、AIツールは進化を続けている。エンジニアは多くの分野で人間の能力を上回るAIシステムを構築している。このことは、このテクノロジーがAIハイプサイクルに埋もれないことを証明する。AIは軌道に乗り、産業に大きく貢献する準備が整ったといえる。
アンドリーセン氏は、AIが根本的な技術に変化をもたらし、それによって経済のあらゆる分野の在り方に関して再考が必要になる可能性が高いと言う。
「テクノロジーの進化の大半は徐々に起こる。だが、AIは製品や企業をほぼ根本から変えてしまうアーキテクチャの変化になる可能性があると考えている」(アンドリーセン氏)
AIの見方を人間中心から変える
同時に、現在のAIへの期待に応え、AIハイプサイクルを乗り越えるには、AIを導入する方法と目的を体系的に考え始める必要がある。こう語るのは、カリフォルニア大学バークレー校の教授でニューラルネットワークの初期研究の第一人者であるマイケル・ジョーダン氏だ。
ジョーダン氏はカンファレンスの基調講演で、機械学習アプリケーションの大半は、一人一人のユーザーの好みを学習し、それに基づいてエクスペリエンスを調整し、製品を薦めるものだと語った。
だが、多くのサービスがこの考えを基に構築されると何が起きるだろう。映像配信サービスを提供するNetflixが同じようなお薦めを数百万人のユーザーに提供しても問題はない。だが、金融サービス企業が同じ株を多数のクライアントに薦めたら、人為的に市場が変えられてしまう可能性があるとジョーダン氏は話す。
「目的は個人に合わせて決めることではない。考えなければならないのは、エージェントのシステムだ」(ジョーダン氏)
ジョーダン氏は、AIが応用されている幾つかのユースケースにも異議を唱える。多くの優秀な開発者が何らかの人間の知能を再現しようとしているが、そのようなツールには見込みがないと同氏は言う。与えられたタスクや人間よりも多少得意なタスクを実行するアルゴリズムを構築するのではなく、開発者は人間ができないことを可能にするツールを開発すべきだという。
例えば、交通データを分析して信号を変え、混雑した道路から早く車を移動させる機械学習システムなどが優れたAIアプリケーションだとジョーダン氏は話す。人間がこのような信号操作を行うために認知機能を利用して全てのデータを分析することは不可能だろう。そのため、これは見込みのあるユースケースだ。
「人々は、AI革命とはコンピュータビジョン分野の機械学習だと考えている。だが、このような機械学習は人間の模倣という観点に基づくものだ。人間がなしえなかったシステムの構築を試みてはどうだろう。人間を模倣するAIは間違いだ」(ジョーダン氏)
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