多くのEMM製品が、より多様なAndroidデバイスを管理できるようになれば、企業やエンドユーザーは確実に恩恵を受ける。こうした理想的な状況に近づく可能性が見えてきた。
Googleは、モバイルOS「Android」を企業にとってより魅力的なものにすることを目指す、新しい取り組みを進めている。
エンタープライズモビリティー管理(EMM)ベンダーは現在、Androidデバイスベンダー各社が提供する独自機能に対処するため、それらの機能に応じたさまざまなAPI(アプリケーションプログラミングインタフェース)を自社製品に組み込んでいる。だがこの方法では、全てのデバイスの機能をカバーするには大変な手間が掛かる。
Googleが推進する「OEMConfig」という仕組みがあれば、ユーザー企業のIT担当者は、自社で利用するEMM製品を通じて、より簡単にさまざまなAndroidデバイスを管理、更新したり、各デバイス固有の機能をエンドユーザー向けに提供したりできるようになる。
「大きな前進になりそうだ。Googleは、Androidデバイスを企業市場により深く浸透させることに本腰を入れている。私としては楽しみだ」。金融機関United Bankのメッセージングおよびコラボレーションスペシャリストを務めるウィレム・バグチュス氏は、こう語る。
各デバイスベンダーは、OSの機能を拡張するAPIにより、さまざまな独自機能をAndroidデバイスに組み込んでいる。保守、点検、修理といったフィールドサービスの担当者のために、データ通信速度を最適化する機能がその一例だ。Googleはビジネス利用向けに、Androidの標準APIの拡充を進めた。だがデバイスベンダー独自のAPIは、まだ数多く使われている。
独自APIが多くなると、EMM製品のベンダーは、さまざまなAPIをテストしたり、管理機能のメンテナンスをしたりしなければならない。デバイスベンダーがOSをアップデートするたびに、こうしたプロセスを繰り返さなければならない可能性がある。EMMベンダーにとっては、各デバイスをサポートするに当たって、どこにリソースを投入するかの選択を強いられる。
「これはEMMベンダーにとって大きな負担だ」と、EMMベンダーMobileIronの最高戦略責任者オジャス・リージ氏は指摘する。「デバイスベンダーの独自APIは、多くのEMMベンダーがサポート対象にするとは限らない。発展性に乏しく、デバイスベンダーの実質的な差異化力を失わせてしまう」
社内でAndroidデバイスを管理するのに苦労しているIT部門は少なくない。Androidデバイスには多くのバリエーションがあるからだ。
United Bankはこの2年間、MicrosoftのEMMサービス「Microsoft Intune」を使って、Appleの「iOS」およびAndroid搭載デバイスを管理してきた。United Bankは技術サービス部門の従業員だけにAndroidデバイスを支給している。それらはGoogleブランドのスマートフォンだ。Googleデバイスは、OSのアップデートを最も頻繁に受け取るからだと、バグチュス氏は説明する。「Androidはアップデートが頻繁で、修正や改良が活発になされており、デバイスベンダーごとに異なるバリエーションがある。それには良い面もあるが、複数ベンダーのデバイスを採用すると、標準的な管理アプローチが取りにくくなる」(バグチュス氏)
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