データ分析を治療に生かす
注目の「バリューベースヘルスケア」、実現はアナリティクスが鍵
医療機関はバリューベースヘルスケアを導入し始めている。この考え方を取り入れ、ハイリスク患者を特定したり予防医療を実現したりする上で、アナリティクスは極めて重要な役割を担い得る。
最近、多くの医療機関が、コストなど医療従事者目線の評価基準ではなく、患者目線の評価基準を導入するバリューベースヘルスケアへの移行に直面している。被保険者の多くは、バリューベースヘルスケアの導入によって、増加する医療費を抑えるだけではなく、医師が患者の治療結果(アウトカム)や集団健康管理に集中できるようになるという期待を持って、この新しいヘルスケアモデルの導入を促進している。バリューベースヘルスケアを実現するに当たっては、その成功を確実にするために幾つか鍵となる要素を取り入れることが必要だ。ここではアナリティクスが鍵となる役割を担う。バリューベースヘルスケアを実践するための技術を導入しようとする際に、医療提供機関が直面し得る障害もいくつか存在する。
電子カルテの限界
現在医療機関の大半が、病院内において何らかの形で電子カルテを導入している。電子カルテには、患者の来院やスケジュール、支払い、検査データ、投薬に関連したデータが記録されている。患者のデータに関して言えば、大半のEHR(電子カルテ)は、患者のデータの一部しか処理・分析できない。ハイリスク患者に関しても、基本的な情報のみを提供する限定的なレポート機能しか持ち合わせていない。機能が限られている原因として、分析のための十分な情報を提供する包括的な患者データが欠落していることと、高度な分析機能が備えられていないことが挙げられる。その結果、医師は予防医療やハイリスク患者の特定を限定的にしかできないか、全く検出することができない。
バリューベースヘルスケアに期待されること
治療結果の向上を優先するバリューベースヘルスケアは、アナリティクスを用いて、ハイリスク患者の検出や健康管理を補助し、予防医療をサポートする。医療機関はEHRやレセプトデータ、医療情報交換、ウェアラブル端末、その他の情報源から収集・評価されたさまざまな患者に関するデータの分析に基づいて、ハイリスク患者の検出などの知見を得られる可能性がある。
バリューベースヘルスケア向けのアナリティクスは、臨床または運営、財務などさまざまな場面で利用されている。バリューベースヘルスケア向けにアナリティクスが利用される例としては次のようなものがある。
- ハイリスク患者のデータが閲覧でき、フィルタリング機能を備えた、臨床支援チーム向けのインタラクティブなダッシュボード
- 運営や臨床のKPI(重要業績評価指標)を示すエグゼクティブダッシュボード
- 予防型治療などさまざまな治療計画の効果や状況をまとめて表示するダッシュボード
- 患者一覧の詳細と関連するその他項目の詳細が記載された既存のレポート
- 患者の集団や個々の患者のコスト面と医療の質の面に関する指標の調査レポート
- 特定の病気固有のパターンを見つけることや、パターンから患者を見極めることへのAIアルゴリズムおよび機械学習の利用
EHRとは異なり、バリューベースヘルスケアに利用されるアナリティクスツールはデータの収集あるいはキャプチャーをするように意図されたものではない。分析・処理された既存のデータに基づいてエンドユーザーにフィードバックを提供できるようにつくられている。また一般患者に対して提供される治療計画やケアに対する洞察、これらからフィードバックを得るために、常に利用されることが想定されている。
バリューベースヘルスケアはアナリティクスにより実用性や価値が付加されたにもかかわらず、医療機関はこれらのツールを実用化するにあたり依然としていくつかの障害に直面している。技術的な要因である、データへのアクセスやエンドユーザーの導入、セキュリティまたは利用するデータ自体に関する理解不足が障害となっている場合もある。医師の前には障害が横たわっているが、バリューベースヘルスケアは普及してきている。被保険者は医療費を削減し患者のケアの質を向上させるためにはバリューベースヘルスケアこそが進む方向であり、医師はこの新しいヘルスケアモデルに対応する必要があると断言している。
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