HDDの出荷台数を抜く勢いでフラッシュストレージが普及しつつある理由を知るには、幾つかの視点が必要だ。容量やフォームファクターなどの視点から見てみよう。
企業向けのストレージ市場では2020年か2021年には、SSD(ソリッドステートドライブ)などのフラッシュストレージの出荷台数がHDDの出荷台数を上回る見込みだ。データ読み書き速度などの性能においてフラッシュストレージがHDDを上回るばかりでなく、NAND型フラッシュメモリを大容量化する技術が進化してきたことも理由として挙げられる。
SSDはHDDと同じフォームファクター(形状や大きさに関する仕様)を採用する限り、潜在的な性能を十分に発揮することができない。こうした中、PCI Express(PCIe)接続のインタフェース規格NVMe(Non-Volatile Memory Express)に準拠したフラッシュストレージが登場していることもフラッシュストレージの採用を後押ししていると考えられる。
本稿はフラッシュストレージの採用が進む要因を複数の視点で深堀りする。併せて異なる技術を採用するフラッシュストレージの使い分け方を紹介する。
コンピュータのメインメモリに利用される「DRAM」(Dynamic Random Access Memory)と同様、NAND型フラッシュメモリは、データ読み書きの最小単位であるメモリセル内の電荷(物体が帯びている電気量)の有無を検出することで機能する。DRAMとは異なり、NAND型フラッシュメモリは電源を失ってもデータを保持する。
初期のNAND型フラッシュメモリの設計は、導電性を持つポリシリコン(多結晶シリコン)で形成するフローティングゲート(浮遊ゲート)を、絶縁体である二酸化ケイ素(シリカ)で囲む構造を用いていた。絶縁体に電流を加えることでトンネルを生成して電荷を通過させるプロセス「ファウラーノルドハイムトンネル」(FNトンネル)の仕組みを用いて、フローティングゲートで電荷を保持・解放し、データの書き込みや消去を制御する。この構造は長年にわたり広く利用されてきたが、メモリセルの密度を向上させるには限界があった。メモリセルが平面である2次元(2D)構造を採用していたためだ。
NAND型フラッシュメモリをさらに大容量化するために、構造を3次元(3D)化したシリコン基板にエッチング(半導体の表面を加工して配線を形成するプロセス)を施す必要があった。3D構造ではメモリセルを積層し、メモリチップ1個当たりのメモリセル密度を高めることが可能になる。設計上のボトルネックを解消するとともに、電荷を蓄積する物質や絶縁体として利用する物質を変更することで、3D構造のNAND型フラッシュメモリが実現した。3D構造のNAND型フラッシュメモリは電荷を蓄積する仕組みとしてフローティングゲートではなく、絶縁膜に電荷がたまる仕組みを利用するチャージトラップ(電荷捕獲)という方式を採用している。
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