コロナ禍の「ランサムウェア」対策【前編】
新型コロナ禍だからこそメールの不審URL・不審ファイルに警戒すべき理由
新型コロナウイルス感染症に乗じるランサムウェア攻撃が増加し、医療機関や地方自治体の活動を妨げることを専門家は懸念する。その背景や想定される被害はどのようなものか。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的拡大に関するサイバー攻撃が猛威を振るっている。このような攻撃が医療機関や地方自治体の活動を妨げるランサムウェア(身代金要求型マルウェア)攻撃に発展することを専門家は懸念する。
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新型コロナウイルス感染症に便乗する攻撃
新型コロナウイルス感染症対策としてのセキュリティ
2019年は地方自治体や医療機関がランサムウェア攻撃によって大きな被害を受けた。そして2020年には、新型コロナウイルス感染症に関連するサイバー攻撃がさらなる被害を生む恐れがある。新型コロナウイルス感染症に乗じたサイバー攻撃は勢いを増しており、フィッシングメールや悪意のあるリンク付きメールの急増を複数のセキュリティベンダーが報告している。
その一社であるCheck Point Software Technologiesは、新型コロナウイルス感染症に関連するドメインは、2020年1月20日以降に登録された関連性のないドメインと比較し、およそ50%高い確率で悪質だと結論付けた。同社でセキュリティエンジニアを務めるマヤ・リバイン氏は「新型コロナウイルス感染症に関連するサイバー攻撃が増加していることは紛れもない事実だ」と語る。リバイン氏によれば、イタリアの全法人の10%以上が標的となった大規模なフィッシングは、世界保健機関(WHO)を装って送信されたメールの有害な添付ファイルを開くように促すものだった。
なぜランサムウェア攻撃の懸念が強まるのか
「攻撃者が悲劇的な出来事に付け込むのは珍しいことではなく、どんな惨事にも聖域はない」。そう語るのは、CDN(コンテンツデリバリーネットワーク)とクラウドセキュリティのベンダーAkamai Technologiesでセキュリティ戦略の最高技術責任者(CTO)を務めるパトリック・サリバン氏だ。「悲劇的な出来事に対して感情的になり、警戒を忘れてメールの添付ファイルを開いたり、リンクをクリックしたりする人の性質を踏まえ、攻撃者は悲劇的な出来事をフィッシングの餌として悪用する」(サリバン氏)
セキュリティベンダーRiskIQは2020年3月に発表したレポート「Ransomware Attacks the Next Consequence of the Coronavirus Outbreak」で、攻撃者がランサムウェア攻撃を仕掛けるために新型コロナウイルス感染症の流行を悪用すると予測している。「医療機関は既にランサムウェア攻撃の格好の標的となっている。新型コロナウイルス感染症の流行によってさらに狙われる機会が増える恐れがある」と、同社でプロテクティブインテリジェンスアナリストを務めるアーロン・イネス氏は指摘する。
RiskIQの調査によると、医療機関を標的とするランサムウェア攻撃は、攻撃者が病院、保健所、診療所、医療センターといった、患者を直接治療する機関を狙う傾向が見られ、2016年以降増加している。「これらの機関は新型コロナウイルス感染症の対処に追われているため、ランサムウェア攻撃の標的にされる危険性が高い。新型コロナウイルス感染症の流行が収束しない限り、そうした攻撃は増加し続ける」とイネス氏は予想する。
トレンドマイクロでグローバル脅威コミュニケーションのディレクターを務めるジョン・クレイ氏は「攻撃者は、この危機的状況を『医療機関にランサムウェア攻撃を仕掛ける好機だ』と考えるだろう」と話す。標的となる医療機関は、患者を治療するために被害に遭ったシステムを復旧することを重視し、身代金を支払う可能性が高いからだ。
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