動的型付け言語(動的言語)の場合、変数に値が代入されるまで型が決定されないため、静的テストでは十分な検証ができない。動的言語の一つであるPythonもこの問題を抱えている。
Contrast Securityは、自己防衛型ソフトウェアをテーマとする企業だ。自己防衛型ソフトウェアとは、AIによる予測機能によってインフラの各層の自律性を高めるソフトウェアを指す。
同社は現在、Webアプリケーション開発に広く利用されているオープンソースプロブラミング言語Pythonに注目している。
多くの読者がご存じのように、Pythonは組み込みのデータ構造体とシンプルな構文を備える動的言語で、迅速なアプリケーション開発に適している。Netflixの動画ストリーミング配信サービス(全世界1億世帯以上)やInstagramのサポートに使われ、NASA(米航空宇宙局)では宇宙探査を支援している。
ただし、Pythonの開発者はセキュリティについて一定の課題を抱えている。
「従来のセキュリティツールでは、企業規模のPythonアプリケーションの脆弱(ぜいじゃく)性を正確に特定できない。特定できたとしても、ソフトウェア開発ライフサイクルのかなり後半になる。それでは、早い段階で脆弱性を見つけるよりもはるかにコストが高くなる」と、Contrast Securityはプレス発表で述べている。
問題の本質は、PythonがJavaやCのような静的言語ではなく動的言語である点にある。
動的と静的の切り分けは、主に変数の割り当て方に基づく。静的言語は変数に型が割り当てられる。だが動的言語では、変数の型はアプリケーションの実行時まで決まらない。
その結果、アプリケーションのセキュリティを正確かつ効果的に確保するにはPythonコードの実行時に評価する必要がある。実行時の評価は、SAST(Static Application Security Test)ツールやDAST(Dynamic Application Security Test)ツールのような従来型のテストでは不可能だ。
Contrast Securityは次のように述べている。「動的言語には最新のセキュリティツールが必要だ。当社の『AppSec』がPythonベースのWebアプリケーションに適しているのはまさにこのためだ。AppSecは、データの流れを通じて実行中のアプリケーションをテストすることで、脆弱性の特定と修復の検証を自動化する。(SASTやDASTのように)個別のコード行を分析するのではなく、アプリケーションの全ルートを可視化する」
Contrast Securityの製品には次のような機能がある。一つは、運用前に実行するIAST(Interactive Application Security Test)だ。実行中のコードからデータを収集して、カスタムコードとライブラリ双方の脆弱性を検出する。もう一つは、ライブラリを解析するSCA(Software Composition Analysis)。これは潜在的に脆弱なサードパーティーコンポーネントとオープンソースコンポーネントを特定する。
運用環境で実行するRASP(Runtime Application Self-Protection)も含まれている。リクエスト入力を検証してアプリケーション内部(カスタムコードとライブラリの両方)の脆弱性が悪用されるのを防ぐ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
今や誰もが入手可能となったフィッシングツール。そこにAIの悪用が加わり、フィッシング攻撃はますます巧妙化している。本資料では、20億件以上のフィッシングトランザクションから、フィッシング攻撃の動向や防御方法を解説する。
セキュリティ対策チームの57%が人材不足の影響を受けているといわれる昨今、インシデントや脆弱性への対応の遅れが、多くの企業で問題視されている。その対策として有効なのが「自動化」だが、どのように採り入れればよいのだろうか。
年々増加する標的型攻撃メール。この対策として標的型攻撃メール訓練を実施している企業は多い。こうした訓練では一般に開封率で効果を測るが、実は開封率だけでは訓練の効果を十分に評価できない。評価となるポイントは報告率だ。
従業員の情報セキュリティ教育は、サイバー攻撃や人的ミスによる情報漏えいから自社を守るためにも必要不可欠な取り組みだ。新入社員の教育を想定し、伝えるべき内容や伝える際のポイントを解説する。
2024年の情報漏えい事故の傾向では、攻撃者による大規模攻撃の他、社員や業務委託先のミス・内部犯行によるケースも多く見られた。インシデント別の要因と対策とともに、今後特に重要になるセキュリティ意識向上のポイントを解説する。
いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは
遠隔のクライアント端末から、サーバにあるデスクトップ環境を利用できる仕組みである仮想デスクトップ(仮想PC画面)は便利だが、仕組みが複雑だ。仮想デスクトップの仕組みを基礎から確認しよう。
「マーケティングオートメーション」 国内売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、マーケティングオートメーション(MA)ツールの売れ筋TOP10を紹介します。
「サイト内検索」&「ライブチャット」売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、サイト内検索ツールとライブチャットの国内売れ筋TOP5をそれぞれ紹介します。
「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年4月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。