「コンソール」「シェル」「ターミナル」の基本的な違いとは? 「Windows Terminal」の理解に必須「Windows Terminal」の基礎解説【前編】

Microsoftの新しいターミナル「Windows Terminal」は、これまでのコマンドラインツールと何が違うのか。まずは理解に必要な「コンソール」「シェル」「ターミナル」の基本的な違いをおさらいしよう。

2020年10月26日 05時00分 公開
[Daniel EngbergTechTarget]

関連キーワード

Windows 10 | Windows | 運用管理


 Microsoftが公開したオープンソースのターミナル「Windows Terminal」は、管理者が日々の作業で使用する管理ツールの使い勝手を向上させる。これまでの「Windows」標準のコマンドラインインタフェース(CLI)ツールが物足りなかったユーザーにとって、利用してみる価値のあるターミナルだ。

 Windows Terminalは、Microsoftが2019年5月開催の開発者イベント「Microsoft Build 2019」で発表し、2020年5月開催の「Microsoft Build 2020」で正式にリリースした。Windows Terminalを詳しく見る前に、まずはターミナルの基本を理解しよう。

コンソール、シェル、ターミナルの違い

 ITの初心者は「コンソール」「シェル」「ターミナル」という用語に混乱する可能性がある。これらの専門用語は、コンピュータの登場当初から使われている。これらの用語を全て同列に扱う人もいるが、それぞれの意味は厳密には異なる。各用語の意味を知れば、Windows Terminal全体をきちんと理解するのに役立つ。

ターミナルとは

 ユーザーに最も近い存在と言えるのがターミナルだ。これはメインフレームの用語に由来する。メインフレームなどの大型コンピュータの場合、ユーザーはこれらを直接操作するのではなくキーボードやモニターを接続して操作する。このキーボードやモニターのセットをターミナル(端末)と呼ぶ。今ではターミナルは、基本的にはシェルのラッパー(あるプログラムを内包して互換性を持たせるためのプログラム)を指す。この場合は、より正確には「ターミナルエミュレータ」(端末エミュレータ)と呼ぶ。

 ターミナルは幾つかのシェルを実行できる。ただし重い作業は一切担わない。ターミナルの役割は、ユーザーとシェルのやりとりを円滑にすることにある。ターミナルはキーボード入力をリッスン(外部からの接続に備えて待機している状態)し、シェルに伝え、シェルの応答をユーザーに対して出力する。

シェルとは

 シェルは、ターミナルから受けた指示に従って作業する。つまりユーザーが入力したコマンドを解釈し、実行する。「PowerShell」「Bash」は代表的なシェルだ。

コンソールとは

 コンソールはコンピュータを制御するためのハードウェアを指す場合もあるが、Windowsの観点ではコンソールはターミナルと同じ機能を担う。このことが用語に関する混乱の原因となっている。Windowsのコンソールは1980年代後半から存在しており、「Windows 10」のコンソールの起源は1993年に発売された「Windows NT」までさかのぼる。

Windows Terminalの機能

 「Windows Terminal 1.0」は、次のような機能や特徴を備えている。

  • タブの設定
  • GPU(グラフィックスプロセッシングユニット)による高速なテキストレンダリング(テキストの描画)
  • 新しい等幅フォント「Cascadia Code」によるテキスト表示
  • 多彩なカスタマイズオプション
  • 「Azure Cloud Shell」「PowerShell」など、さまざまなシェルの利用
  • 複数タブを使った複数シェルの同時実行
  • ショートカットの作成
  • 複数のプロファイル設定(シェルごとのウィンドウ設定)

 さまざまなシステム向けにさまざまなターミナルが提供されている。Windows Terminal以外の主なターミナルには、

  • PuTTY(開発:サイモン・テイサム氏)
  • OpenSSH(開発:OpenBSD Project)
  • HyperTerminal(開発:Hilgraeve)
  • Terminal(開発:Apple、「macOS」標準ターミナル)

などがある。Windows Terminalは、こうしたターミナルが備える主要な機能を網羅している。

TechTargetジャパン「読者ライター」募集のお知らせ

IT製品選定に関する記事をご執筆いただく「読者ライター」を募集します。記事を通じて皆さまの経験やノウハウを共有してみませんか? 応募はこちらから↓

https://techtarget.itmedia.co.jp/tt/news/2009/25/news11.html

TechTarget発 先取りITトレンド

米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。

ITmedia マーケティング新着記事

news148.jpg

天候と位置情報を活用 ルグランとジオロジックが新たな広告サービスを共同開発
ルグランとジオロジックが新たな「天気連動型広告」を共同開発した。ルグランが気象デー...

news130.jpg

“AI美女”を広告に起用しない ユニリーバ「Dove」はなぜそう決めたのか
Unilever傘下の美容ケアブランド「Dove」は、「Real Beauty」の20周年を機に、生成AIツー...

news099.png

有料動画サービス 34歳以下では過半数が利用経験、4割は1日1回以上利用
「ニールセン・ビデオコンテンツ アンド アド レポート 2024」を基に、テレビ画面での動...