NVIDIAによる買収で“Arm離れ”は結局起こるのか、起こらないのかIBMとRed Hatの“良い前例”が希望か

GPU大手のNVIDIAが、プロセッサ設計大手のArmの買収を発表した。Armは複数のプロセッサベンダーと取引をしており、今回の買収は顧客企業との関係性に影響を及ぼす可能性がある。どのような影響があるのか。

2020年10月24日 08時30分 公開
[Mike GleasonTechTarget]

関連キーワード

ARM | IT戦略 | スマートフォン


 GPU(グラフィックス処理プロセッサ)ベンダー大手のNVIDIAは2020年9月、プロセッサ設計大手のArmを400億ドルで買収すると発表した。Armはプロセッサへの命令(インストラクション)仕様をまとめた「命令セットアーキテクチャ」やプロセッサのハードウェア仕様をまとめた「マイクロアーキテクチャ」といったプロセッサアーキテクチャを設計しており、世界中のスマートフォンベンダーが同社のプロセッサアーキテクチャを採用している。今回の買収発表はArmに依存するモバイルデバイス業界に不確実性をもたらした。

 Armは大手スマートフォンベンダー各社に、低消費電力設計のプロセッサアーキテクチャのライセンスを提供している。AppleやSamsung Electronics、Huawei Technologiesといったデバイスベンダー各社は、こうしたライセンスを利用している。

 モバイルデバイス市場でのArmの成功は、同社のビジネスモデルに起因する。同社はプロセッサアーキテクチャを設計しているが、プロセッサそのものの販売はしていない。NVIDIAが買収すれば、特定のプロセッサベンダーがArmを保有することになる。そうなれば、同様にプロセッサを製造販売しているSamsungやHuaweiとArmの関係に影響を及ぼす可能性がある。Appleは自社製品のためだけに、Armのプロセッサアーキテクチャを使ったプロセッサを設計していることから、買収で受ける影響がこれらの2社よりも小さい可能性がある。

 NVIDIAはArmの中立性を守り、オープンなライセンス方式を続けると表明している。だがIT業界のアナリストからは疑問の声が上がっている。

「Arm離れが加速する」と考える人、異議を唱える人、それぞれの主張

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アイティメディアからのお知らせ

From Informa TechTarget

なぜクラウド全盛の今「メインフレーム」が再び脚光を浴びるのか

なぜクラウド全盛の今「メインフレーム」が再び脚光を浴びるのか
メインフレームを支える人材の高齢化が進み、企業の基幹IT運用に大きなリスクが迫っている。一方で、メインフレームは再評価の時を迎えている。

ITmedia マーケティング新着記事

news017.png

「サイト内検索」&「ライブチャット」売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、サイト内検索ツールとライブチャットの国内売れ筋TOP5をそれぞれ紹介します。

news027.png

「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。

news023.png

「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...