VDI設計時に忘れてはいけない「3種のテレワーカー」とは?HCIによる「VDI」設計のポイント【中編】

在宅勤務などのテレワークのために「VDI」を設計する際は、適切なインフラ選びだけではなく、テレワークを実施する従業員の業務特性を踏まえることも欠かせない。どのようなテレワーカーを想定すべきなのか。

2020年10月23日 05時00分 公開
[Kurt MarkoTechTarget]

 仮想デスクトップのクラウドサービス「DaaS」(Desktop as a Service)を利用すると、デスクトップ配信用のインフラとなるハードウェアやソフトウェアの管理をせずに済む。一方で仮想デスクトップを配信するシステムである「VDI」(仮想デスクトップインフラ)を自社構築する場合、IT部門がインフラの選定、構築、運用をする必要がある。

 DaaSの利用とVDIの自社構築には違いはあるが、いずれの場合も「スケールアップ」と「スケールアウト」の両方とも可能なハードウェアが、仮想デスクトップ配信用のインフラとして用いられる。スケールアップは仮想デスクトップ配信用サーバのプロセッサ、メインメモリ、ネットワーク、ストレージなどのリソースを増強してスペックアップを図ること。スケールアウトは仮想デスクトップの負荷を複数のサーバに分散させることを指す。

 「ハイパーコンバージドインフラ」(HCI)はスケールアップとスケールアウトのいずれとも相性が良い。HCIの主な用途としてVDIがよく挙がるのはこのためだ。

要件定義に不可欠な「テレワーカーの3分類」

 HCIを利用してVDIを構築する際は、どのようなエンドユーザーがいるのかを想定して要件を定義することが重要だ。Cisco Systemsによる在宅勤務者の分類を参考にすると、エンドユーザーを次の3種類に分類できる。

  • タスクワーカー
    • 主に同時に1つのアプリケーションを利用する。
  • ナレッジワーカー
    • オフィススイート「Microsoft Office」やWeb会議ツールを使用し、複数のアプリケーションや複数のWebブラウザタブを同時に利用する。
  • パワーユーザー
    • ナレッジワーカーの特性に加え、高解像度グラフィックスや動画編集ソフトウェアを使用する。

 HCIはシャシーごとに複数のノード(サーバ)を高密度で積載できる。ストレージ容量を十分に確保でき、ネットワークインタフェースも備える。一般的に利用されているVDIソフトウェアも利用できるため、VDIには理想的なインフラだ。3、4ノードのクラスタからスモールスタートし、複数のラックにまたがる数十ノードから数百ノードの構成へと迅速にスケールアウトできることもHCIの利点だ。


 後編はVDI向けのインフラとしてHCIを選ぶべき理由を掘り下げる。

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