McDonald'sは「Google Cloud Platform」(GCP)を利用して開発したスマートフォンアプリケーションをマーケティングに生かしている。マスマーケティング以外の手段を模索する背景には何があるのか。
世界最大手のファストフード企業であるMcDonald's(マクドナルド)は、2017年にスマートフォンアプリケーションの提供を開始した。同社のスマートフォンアプリケーションはエンドユーザーのデータを収集して、各エンドユーザーに合わせたクーポンを提供する。さらに収集したデータをGoogleのクラウドサービス群「Google Cloud Platform」に構築したデータ分析ツールを使用して分析することで、同社が消費者を理解するのに役立てている。
全ての消費者に同じマーケティング活動を実施するマスマーケティングは「多くの消費者を相手にする手段としては優れている」と、McDonald'sでグローバルカスタマーデータ戦略の担当ディレクターを務めるデイビッド・ガリンスキー氏は認める。ただしマスマーケティングでは「一人一人の消費者に関連があるコンテンツを提示できない」というのがガリンスキー氏の考えだ。
そこでMcDonald'sは、スマートフォンアプリケーションを通して消費者データを収集し、分析するシステムを開発して、個人に合わせたマーケティング戦略を展開した。モバイルアプリケーションは、各エンドユーザーが来店する時間や頻繁に利用する店舗、購入する商品の種類、購入金額など、さまざまなデータをもたらした。
収集したデータはGCPのデータウェアハウス(DWH)サービス「BigQuery」で管理し、AIモデルと分析ツールを使って分析する。これにより消費者が求める商品やニーズを予測することが可能になった。
ITコンサルティング企業Publicis Sapientでシニアテクノロジーディレクターを務めるアンドレ・エングベルツ氏は「GCPは機械学習から洞察を生み出し、消費者のニーズを視覚化するための処理を自動化する」と語る。McDonald'sは数年前からPublicis SapientとITコンサルティング企業Capgeminiが提供するITシステム構築サービスを使用して「デジタルトランスフォーメーション」(DX:デジタル時代に適応するために、ビジネスや企業風土を変革すること)に取り組んでいる。
McDonald'sはスマートフォンアプリケーションを使用したマーケティングの大部分に、GCPが提供する技術とサービスを利用しているとエングベルツ氏は話す。
後編はMcDonald'sがマーケティングに生かす、さまざまな分析手段を紹介する。
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