マクドナルドに「GCPでスマホアプリ開発」を促した“マスマーケの限界”マーケティングにGCPを活用するMcDonald's【前編】

McDonald'sは「Google Cloud Platform」(GCP)を利用して開発したスマートフォンアプリケーションをマーケティングに生かしている。マスマーケティング以外の手段を模索する背景には何があるのか。

2020年10月23日 05時00分 公開
[Mark LabbeTechTarget]

 世界最大手のファストフード企業であるMcDonald's(マクドナルド)は、2017年にスマートフォンアプリケーションの提供を開始した。同社のスマートフォンアプリケーションはエンドユーザーのデータを収集して、各エンドユーザーに合わせたクーポンを提供する。さらに収集したデータをGoogleのクラウドサービス群「Google Cloud Platform」に構築したデータ分析ツールを使用して分析することで、同社が消費者を理解するのに役立てている。

マクドナルドが実感した「マスマーケティングの限界」

 全ての消費者に同じマーケティング活動を実施するマスマーケティングは「多くの消費者を相手にする手段としては優れている」と、McDonald'sでグローバルカスタマーデータ戦略の担当ディレクターを務めるデイビッド・ガリンスキー氏は認める。ただしマスマーケティングでは「一人一人の消費者に関連があるコンテンツを提示できない」というのがガリンスキー氏の考えだ。

 そこでMcDonald'sは、スマートフォンアプリケーションを通して消費者データを収集し、分析するシステムを開発して、個人に合わせたマーケティング戦略を展開した。モバイルアプリケーションは、各エンドユーザーが来店する時間や頻繁に利用する店舗、購入する商品の種類、購入金額など、さまざまなデータをもたらした。

 収集したデータはGCPのデータウェアハウス(DWH)サービス「BigQuery」で管理し、AIモデルと分析ツールを使って分析する。これにより消費者が求める商品やニーズを予測することが可能になった。

 ITコンサルティング企業Publicis Sapientでシニアテクノロジーディレクターを務めるアンドレ・エングベルツ氏は「GCPは機械学習から洞察を生み出し、消費者のニーズを視覚化するための処理を自動化する」と語る。McDonald'sは数年前からPublicis SapientとITコンサルティング企業Capgeminiが提供するITシステム構築サービスを使用して「デジタルトランスフォーメーション」(DX:デジタル時代に適応するために、ビジネスや企業風土を変革すること)に取り組んでいる。

 McDonald'sはスマートフォンアプリケーションを使用したマーケティングの大部分に、GCPが提供する技術とサービスを利用しているとエングベルツ氏は話す。


 後編はMcDonald'sがマーケティングに生かす、さまざまな分析手段を紹介する。

TechTarget発 先取りITトレンド

米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

隴�スー騾ケツ€郢晏ク厥。郢ァ�、郢晏現�ス郢晢スシ郢昜サ」�ス

製品資料 日本ヒューレット・パッカード合同会社

運用負荷やコストが増大、複数世代にわたるIT環境のモダン化をどう進める?

AI活用やデータドリブン経営が加速する一方で、レガシーインフラが問題になるケースが増えている。特に複数の世代にわたってIT資産が混在しているインフラ環境では、運用負荷やコストが増大してしまう。この問題をどう解消すればよいのか。

製品資料 日本ヒューレット・パッカード合同会社

無計画なハイブリッドクラウドが招く弊害、次世代のITインフラでどう解消する?

クラウドファーストの流れが加速する中、無計画に構築されたハイブリッドクラウドの弊害が多くの企業を悩ませている。ITオペレーションの最適化を図るためには、次世代のハイブリッドクラウドへのモダン化を進めることが有効だ。

市場調査・トレンド 日本ヒューレット・パッカード合同会社

ハイブリッドクラウド環境におけるワークロードの配置を最適化する方法とは?

ワークロードを最適な環境に配置できる手法として注目され、多くの企業が採用しているハイブリッドクラウド。しかし、パフォーマンス、法令順守、コストなどが課題となり、ハイブリッドクラウド環境の最適化を難しくしている。

製品資料 富士通株式会社

小売業のDXを加速する次世代のプラットフォームとは

小売業界にとって、顧客体験(CX)、従業員体験(EX)の向上ならびにDX推進は重要度の高い課題である。多拠点、多店舗、他業態を展開する小売業でCXとEXをグローバルに向上する次世代のリテールコマースプラットフォームとは。

製品資料 レノボ・エンタープライズ・ソリューションズ合同会社

マンガで分かる:オンプレミスとクラウドの“二重管理”を解消する方法

インフラのハイブリッドクラウド化を進める一方、オンプレミスとクラウドを管理するためのツールが異なるため、“二重管理”が発生している企業は少なくない。これでは運用負荷は高まるばかりだ。そこでこの状況を解消する方法を解説する。

郢晏生ホヲ郢敖€郢晢スシ郢ァ�ウ郢晢スウ郢晢ソスホヲ郢晢ソスPR

From Informa TechTarget

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは
遠隔のクライアント端末から、サーバにあるデスクトップ環境を利用できる仕組みである仮想デスクトップ(仮想PC画面)は便利だが、仕組みが複雑だ。仮想デスクトップの仕組みを基礎から確認しよう。

マクドナルドに「GCPでスマホアプリ開発」を促した“マスマーケの限界”:マーケティングにGCPを活用するMcDonald's【前編】 - TechTargetジャパン クラウド 隴�スー騾ケツ€髫ェ蛟�スコ�ス

ITmedia マーケティング新着記事

news023.png

「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...

news025.png

「マーケティングオートメーション」 国内売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、マーケティングオートメーション(MA)ツールの売れ筋TOP10を紹介します。

news014.png

「サイト内検索」&「ライブチャット」売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、サイト内検索ツールとライブチャットの国内売れ筋TOP5をそれぞれ紹介します。