拡大する「非正規労働者」活用と課題【前編】
「非正規労働者」は軽蔑的用語に? 外部人材を大切にする言葉「拡大人材」とは
企業の非正規雇用への依存度が高まる中、HRベンダーの間では外部人材を「非正規労働者」と呼ばず、意図的に「拡大人材」と呼ぶ動きがある。これらの言葉の裏側に潜む意味とは。
派遣労働者やフリーランサー、ギグワーカー(Gig Worker:インターネット経由で単発や短期の仕事を請け負う労働者)など、さまざまな非正規労働者が存在する。非正規労働者の勤務は一時的で、通常は福利厚生がない。企業はこうした非正規労働者への依存度をますます高める傾向がある。非正規労働者の増加は一つのトレンドであり、国政や人事(HR)ソフトウェアの開発にも影響を与える。
“軽蔑的用語”の「非正規労働者」から「拡大人材」へ
「『非正規労働者』という言葉が一般的に使用されているとしても、『非正規』という言葉は軽蔑的で、こうした労働者の価値を否定するものだ」。HRベンダーのUtmost Softwareは、こう考えている。
Utmost Softwareの「Extended Workforce System」は、HRベンダーWorkdayの同名クラウドHR(HRソフトウェアのクラウドサービス)のユーザー企業に向けたベンダー管理ツールだ。Extended Workforce Systemは、非正規労働者を個人として尊重した仕様になっている。
例えば新規に採用した人材を受け入れるオンボーディングプロセスにおいて、労働者はExtended Workforce Systemを使って自分に関するデータを入力できる。労働者の情報を可視化すること、勤める企業への積極的な関与を促すことが目的だ。労働者を「料金表の一部のように扱うのではなく、労働の一端を担う大切な存在として扱う」と、Utmost Softwareの最高執行責任者(COO)兼共同設立者であるダン・ベック氏は語る。
ベンダー管理システムの開発を手掛けるBeelineは2021年3月、社外人材の活用を支援する「拡大人材」(Extended Workforce)システムを発表した。同社は「拡大人材」という言葉を意図的に使っている。「非正規労働者は『拡大家族』(Extended Family、注1)のようなものだからだ」と、同社で戦略および製品部門のシニアバイスプレジデントを務めるコリーン・タイナー氏は説明する。
※注1:一組の夫婦とその子どもの夫婦など、2世帯以上の家族が1つの家に一緒に住む家族構成。
企業内でベンダー管理システムを扱うのは、主に調達部門とIT部門だった。非正規労働者は人事部門が管理することが一般的になってきた。そのため「ベンダー管理ではなく人材管理を念頭に置いて拡大人材システムを設計した」とタイナー氏は説明する。
企業は、拡大人材に関連するデータを従業員とは別の人事情報記録システムに保持するとタイナー氏は述べる。拡大人材は会社の従業員ではないからだ。だが企業が非正規労働者を人材の一部として活用する機会が増えるほど、既存従業員とは別のシステムを使うことによる管理の煩雑さが際立つようになる。
拡大人材システムは、HRツールや調達ツールと連携できる。これにより企業は、拡大人材システムを使って緊急時に非正規労働者の連絡先情報を確認することが可能になる。
~
中編は、米国における非正規雇用の実態を解説する。
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