「Windows Installer」の脆弱性「CVE-2021-41379」に亜種が見つかった。専門家によると、CVE-2021-41379のパッチとしてMicrosoftが配布した更新プログラムでも、この亜種を修正できない。その危険性とは。
「Windows」用のソフトウェアインストーラー「Windows Installer」の脆弱(ぜいじゃく)性を悪用した攻撃が観測された。この脆弱性は、より上位のアクセス権限を不正に取得する「権限昇格」を可能にする。
2021年11月21日(現地時間)、セキュリティ研究者アブデルハミド・ナセリ氏は、この脆弱性の概念実証(PoC:Proof of Concept)コードを公開した。攻撃者がこの脆弱性を悪用すれば、管理者権限を取得できる可能性がある。
今回見つかった脆弱性は、ナセリ氏自身が発見したWindows Installerの脆弱性「CVE-2021-41379」の亜種だ。Microsoftが配布した2021年11月の月例更新プログラムは、CVE-2021-41379の修正を含んでいた。だが同氏はこの更新プログラムを適用してもCVE-2021-41379を完全に修正できないことを発見し、その分析中に新たな亜種を発見した。
ナセリ氏がPoCコードを公開して以来、Cisco Systemsのセキュリティ研究機関Cisco TalosとセキュリティベンダーMcAfeeの少なくとも2組織が、今回見つかったCVE-2021-41379の亜種の悪用を報告した。
Cisco Talosのセキュリティインテリジェンス・調査グループのテクニカルリーダーであるジェイソン・シュルツ氏は、2021年11月23日(現地時間)に同機関のブログのエントリ(投稿)を公開した。その中でシュルツ氏は、同機関がCVE-2021-41379の亜種を悪用するマルウェアを検出したと伝えた。
McAfeeでチーフサイエンティストを務めるラジ・サマニ氏は2021年11月29日(現地時間)、同社が23カ国と複数業種でCVE-2021-41379の亜種の悪用を検出したと、ミニブログ「Twitter」に投稿した。悪用が見つかった国は米国、カナダ、中国、インド、ブラジルなどで、特に攻撃が目立ったのはサウジアラビア、ウクライナ、ベルギーの3カ国だった。
米TechTargetの取材に対してナセリ氏は、自身が作成したPoCコードと他の脆弱性を組み合わせてリモート乗っ取り攻撃を仕掛けることは不可能だと説明した。同氏によると、CVE-2021-41379の亜種はリモート攻撃には悪用できず、ローカルでの攻撃のみに限られる。ただし「たとえローカルでしか悪用できないとしても、攻撃者がこの脆弱性を悪用してできることはたくさんある」点を同氏は強調する。
「問題は、今回のような『管理者権限の不正取得が可能な脆弱性』に『真の価値』があることだ」。ナセリ氏はこう語る。
攻撃者が、強い権限のないエンドユーザーとして、標的デバイスでマルウェアを実行することは難しくない。一方で管理者権限の取得は困難だ。そうした状況で、管理者権限を取得できるCVE-2021-41379の亜種には「価値がある」のだとナセリ氏は言う。「攻撃者が管理者権限を不正に取得して標的企業のマシンを制御下に置くことができれば、標的企業の全マシンを乗っ取る状況にもなり得る」と同氏は説明する。
2021年12月、今回見つかったCVE-2021-41379の亜種に、個別の脆弱性識別子(CVE:Common Vulnerabilities and Exposures)である「CVE-2021-43883」が割り振られた。Microsoftは、同月の月例更新プログラムにCVE-2021-43883の修正を含めている。
米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
今や誰もが入手可能となったフィッシングツール。そこにAIの悪用が加わり、フィッシング攻撃はますます巧妙化している。本資料では、20億件以上のフィッシングトランザクションから、フィッシング攻撃の動向や防御方法を解説する。
セキュリティ対策チームの57%が人材不足の影響を受けているといわれる昨今、インシデントや脆弱性への対応の遅れが、多くの企業で問題視されている。その対策として有効なのが「自動化」だが、どのように採り入れればよいのだろうか。
年々増加する標的型攻撃メール。この対策として標的型攻撃メール訓練を実施している企業は多い。こうした訓練では一般に開封率で効果を測るが、実は開封率だけでは訓練の効果を十分に評価できない。評価となるポイントは報告率だ。
従業員の情報セキュリティ教育は、サイバー攻撃や人的ミスによる情報漏えいから自社を守るためにも必要不可欠な取り組みだ。新入社員の教育を想定し、伝えるべき内容や伝える際のポイントを解説する。
2024年の情報漏えい事故の傾向では、攻撃者による大規模攻撃の他、社員や業務委託先のミス・内部犯行によるケースも多く見られた。インシデント別の要因と対策とともに、今後特に重要になるセキュリティ意識向上のポイントを解説する。
数分でデータを人質に 進化するランサムウェアに有効な「第2世代EDR」とは (2025/3/4)
クラウドサービスの脆弱性をどう解消する? 安全な開発環境を構築するヒント (2025/3/4)
「複雑、高額、難しい」を変える中堅・中小向けSASEのメリットを解説 (2025/2/10)
「Box」に移行してもなくならない「お守り仕事」を根本から効率化するには? (2025/1/23)
これからのセキュリティ対策に必要な「防御側の優位性」、AIはどう実現する? (2025/1/22)
いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは
遠隔のクライアント端末から、サーバにあるデスクトップ環境を利用できる仕組みである仮想デスクトップ(仮想PC画面)は便利だが、仕組みが複雑だ。仮想デスクトップの仕組みを基礎から確認しよう。
「マーケティングオートメーション」 国内売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、マーケティングオートメーション(MA)ツールの売れ筋TOP10を紹介します。
「サイト内検索」&「ライブチャット」売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、サイト内検索ツールとライブチャットの国内売れ筋TOP5をそれぞれ紹介します。
「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年4月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。