セキュリティベンダーやセキュリティ担当者はMITRE ATT&CKに注目せざるを得ない。MITRE ATT&CKの価値とは何か。
「MITRE ATT&CK」フレームワークは、サイバー攻撃に関する情報の収集と攻撃のブロックまたは防止手法の考案を効率化するツールの一つだ。
MITRE ATT&CKとは何か。このフレームワークがサイバーセキュリティの手段足り得るトレンドとは何かを考えてみよう。
本稿では、MITRE ATT&CKをあまり知らない人、またはMITRE ATT&CKを取り入れようと考え始めたばかりの人のために、このフレームワークを簡単に紹介する。
MITRE ATT&CKの「ATT&CK」とは「Adversarial Tactics, Techniques & Common Knowledge」(敵対者の戦術、手法、共通知識)の略だ。MITRE ATT&CKは、攻撃者がシステムに侵入するために使う可能性がある戦術や手法に関するデータを集めた巨大なマトリックスだ。
それ自体はセキュリティシステムではない。だが、サイバーセキュリティの設定を評価するためのツールを提供する。これはセキュリティホールを特定してリスクに優先順位を付けて対応するのに役立つ。
MITRE ATT&CKのマトリックスには、12の包括的な戦術(タクティクス)と250以上の手法(テクニック)がリストアップされている。手法は、さらに「サブテクニック」に細分化されている。戦術リストに最後に追加されたのは2019年だった。手法リストは、専門家やサイバーセキュリティ担当者が新たな方法を見つけるたびに継続的に拡張されている。
2021年のマネージドサービスレポートによると、ネットワークを保護・強化するために検知および対応ツールを利用していないと回答した企業は50%以上に上る。4分の1の企業は、まだ境界防御ツールに依存している。
MITREは、ATT&CK Evaluations(訳注)を2022年第2四半期に終了する予定だ。業界ウォッチャーは、2022年第3四半期にはATT&CK Evaluationsの結果を確認できると期待している。この結果はセキュリティツールの次期ステップの概要を見渡すのに役立つだろう。
訳注:実在するAPT(Advanced Persistent Threat)グループの攻撃を想定した模擬攻撃への対応能力を評価するテスト。セキュリティベンダーが参加して各社の製品が評価される。
ランサムウェアは、最近の記憶の中ではサイバーセキュリティの最も大きな脅威の一つだ。2021年5月時点で300件近くのランサムウェア攻撃が行われており、企業は身代金として総額4500万ドル(約51億1200万円)を支払っている。
ランサムウェアは今後も長期にわたって脅威であり続ける可能性が高い。ランサムウェア攻撃に備えるとしても、感染したファイルを誰かがダウンロードするのを防ぐことはできない。セキュリティホールにパッチを当て、感染したファイルがネットワークに入り込むのを防ぐのにMITRE ATT&CKが役立つ可能性がある。ランサムウェアの被害にまだ遭っていないとしても、MITRE ATT&CKなどのセキュリティフレームワークを組み込むことを検討する必要がある。
2021年10月、MITREは最新版「ATT&CK v10」の計画を発表した。今回のリリースはATT&CK v9で提供されたデータソースをベースに、新たなデータコンポーネントが追加され、データのポイント間の接続を容易にする構造に刷新される。「macOS」と「Linux」用のリモートサービスなどのコンテンツオプションも追加され、多くの新しいシステムに応用する道が開かれている。
今回の発表では、MITREが2022年のデプロイに向けて取り組んでいる構造化検知ツールやオーバーレイツール、組み合わせツール、包括的キャンペーンなどについても詳しく説明された。「ATT&CKcon 2022」カンファレンスではより多くの情報が公開されるだろう。
グローバルコマース(特にEコマース)が拡大を続けるにつれ、サイバーセキュリティも進化する必要がある。以前なら境界防御プログラムで十分だったかもしれない。だが、攻撃者がシステムに侵入するのに使うセキュリティホールやバックドアを全てカバーできるわけではない。
MITRE ATT&CKはフレームワークだが、サイバーセキュリティ全般に対処するための基盤としても機能する。ネットワーク接続されたシステムやクラウドストレージが普及している。それらを変更する必要はない。変更する必要があるのはそれらにアクセスする方法とネットワークのセキュリティを確保する方法だけだ。
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