人々にとってメールは古くから慣れ親しんだコミュニケーションツールだ。攻撃者がメールを悪用するのも目新しいことではない。それでもメールを使った攻撃が成功し続けているのはなぜか。企業は何をすべきなのか。
IP電話やWeb会議、IM(Instant Messenger)、ビジネスチャットといったコミュニケーションツールが台頭した今でも、企業にとってメールは主要なコミュニケーション手段であり続けている。メールは攻撃者の基本的な攻撃手段でもある。さまざまなフィッシング詐欺やランサムウェア(身代金要求型マルウェア)攻撃の場として、攻撃者はメールを悪用し続けている。攻撃者の狙いは、諜報(ちょうほう)や恐喝を目的とするデータの窃盗や破壊だ。企業のITセキュリティチームにとって、メールセキュリティポリシーの策定は最優先課題だと言える。
本連載はメールセキュリティポリシーの目的や盛り込むべき内容、自社のメールセキュリティポリシーを策定、導入するためのヒントを紹介する。
何十年も前からメールは存在しているものの、内在するリスクへの理解の欠如や「自分には関係ない」という油断から、人々はメールに関する悪習を身に付けやすい。メールユーザーはメールがはらむ危険性や金銭的リスク、知的財産リスクを認識するとともに、メールの使用に際してすべきことと、すべきではないことを規定したガイドラインを守らなければならない。
企業はリスク回避策としてメールセキュリティポリシーを定める必要がある。ポリシーは有益かつ簡潔で、従業員に自分の責任を認識させるものであるべきだ。従業員がそれまでメールに関して抱いていた誤解を解くのに十分な量の情報を盛り込んだポリシーでなければならない。
メールセキュリティポリシーは、あらゆる従業員がポリシーの目的やメールユーザーとしての責任を理解でき、質問や懸念をどこに伝えるべきかが分かる内容でなければならない。具体的には、企業は以下の7項目をポリシーに含める必要がある。
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