フランスのCarrefourは脱Oracleによるコスト削減に着手した。しかしOracle DatabaseからPostgreSQLへの移行は容易ではなかった。同社はどうやって課題を解決していったのか。
ニコラス・フォルゲス氏がCTO(最高技術責任者)としてフランスの小売業者Carrefourに入社した2020年当時、同社はクラウド移行やDevOps導入の方法を模索していた。そしてOracle製品の削減と「PostgreSQL」への移行、基幹業務をSaaSに切り替えるプロジェクトが始まった。
仮想サーバへのソフトウェアデプロイについては、Oracleライセンスの制約という問題もあった。「仮想化環境にはライセンスをそのまま移動できない。サーバクラスタ全体でのライセンス取得を要求される」(フォルゲス氏)
CarrefourのメインのDBMS(データベース管理システム)は「Oracle Database」で、バージョン8〜12cまで多数使われていた。「Oracle Exadata」も利用していた。CarrefourがOracleに支払っている年間保守料金は約500万ユーロ(約6億4900万円)に上るとフォルゲス氏は推定する。
IT部門はコスト削減を迫られた。だが、商用ソフトウェアはその基盤となるDBMSを簡単には別の製品に置き換えられない。そのため、Oracle製品から移行できるアプリケーションは自社開発したものに限定された。
自社開発アプリケーションのDBMSをPostgreSQLに切り替えることで、Oracle製品を大幅に削減できるとフォルゲス氏は話す。「Air Franceでの経験から、PostgreSQLが重要なワークロードを運用できるレベルに成熟していることは分かっていた」
CarrefourはOracleのサポートコストを削減するため、Rimini Streetを選んだ。Rimini StreetのサードパーティーサポートとPostgreSQLへの移行を組み合わせ、必要なものだけ「Oracle Cloud」を利用するのが目標だった。
「Oracleとの交渉は非常に緊迫していた。Carrefourの戦略はオンプレミスのOracleの保守を廃止し、Rimini Streetを利用するかOracleのDatabase as a Serviceに移行するかのいずれかだ。Oracleの3年契約に縛られたくなかった」(フォルゲス氏)
Carrefourは1年未満でオンプレミスのOracleサポートをRimini Streetに移管できたと同氏は話す。
CarrefourがアプリケーションをPostgreSQL用に再構築した方法について、フォルゲス氏は「簡単なアプリケーションを移行することから始めた。だが、ストアドプロシージャを使ったアプリケーションについては多くの作業が必要だ。変換が大量になるとコストがかかり過ぎる恐れがある」と語った。
市販アプリケーションについては、「時間をかけてOracleベースではないベンダーを検討した」。
フォルゲス氏によると、CarrefourのIT部門はチームが業務単位で分かれており、PostgreSQLへの移行については各チームとの話し合いが不可欠だったという。
Oracleベースのアプリケーションを維持するか移行するかの戦略を決めるに当たっては、業務単位のチームが基幹業務ソフトウェアを担当するチームを支援する必要がある。
製品を探す際は「Oracle製品に依存しないベンダーを選ぶようにした」(フォルゲス氏)。
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