「テープ人気」が終わるどころかまだ続くのはなぜ? “次世代品への期待”もテープの出荷拡大の“なぜ”【後編】

テープはなくなるどころか、出荷容量が増えてストレージ市場における存在感を大きくしている。根強いテープ人気の理由はどこにあるのか。新規格の動向をまとめて探る。

2022年10月07日 05時00分 公開
[Paul CrocettiTechTarget]

関連キーワード

LTO | データ | ストレージ


 ストレージ分野では「テープの終わり」が叫ばれて久しい。ところが、その終わりは一向にやってこない。テープ規格「LTO」(リニアテープオープン)を策定する業界団体「LTO Program Technology Provider Companies」(TPCs)は、2022年4月に年次出荷レポートを発表した。

 TPCsのレポートによると、2021年におけるLTOテープの出荷容量は圧縮時148EB(エクサバイト)と、過去最高だった。なぜテープは市場から消えることなく企業を魅了し続けているのか。

「テープ人気」が終わらない理由

会員登録(無料)が必要です

 企業がテープを使用する理由は、主に2通りに分類できる。1つ目はデータを長期保存するアーカイブ用、2つ目はサイバー攻撃からデータを守るためのエアギャップの確保だ。エアギャップは本番システムのネットワークにテープを接続しないなど、テープを隔離することを指す。

 富士フイルムの米国子会社FUJIFILM Recording Media U.S.A.のリッチ・ガドムスキー氏は、「テープは電力使用量が他の主要ストレージに比べて少ないため、サステナビリティ(持続可能性)に貢献することもメリットの一つになる」と話す。テープカートリッジを棚で保管しておくだけであれば電力を必要としないことが理由だ。

 バックアップ用のストレージにHDDやSSDを使用することは一般的になった。それに対して、テープは特に長期のアーカイブ用として活用されている。調査会社Evaluator Groupのシニアストラテジスト兼アナリスト、ランディ・カーンズ氏はクラウドベンダーが長期アーカイブのサービスにテープを使用している例を挙げる。「クラウドベンダーの長期アーカイブはデータに接続する際の時間は長くなりがちだが、コストは下がる。それが、テープ市場が成長する大きな要因だ」(カーンズ氏)

 1カートリッジ当たりの容量増加が続く点も、テープユーザーを引き付けている。TPCsが公開しているロードマップによると、「LTO-10」の容量は圧縮時90TB、非圧縮時36TBになる。その前世代で最新のLTO-9の容量は圧縮時45TB、非圧縮時18TBであるため、1世代新しくなることで容量は倍増する。

 LTO-10準拠の製品が登場する時期はまだ分かっていない。過去には2~3年でLTOテープの新規格が出るのが一般的だった。LTO-9の製品が2021年に発売したことを考えれば、それほど先の話ではない。

TechTarget発 先取りITトレンド

米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

新着ホワイトペーパー

製品資料 NTTドコモビジネス株式会社

ストレージの課題を解決、容量無制限の法人向けファイル共有サービスとは?

「データを共有しておいてください」といった言葉はもはや日常となり、共有ストレージの活用は欠かせないものとなっている。一方で、「容量が不足している」「外出先で社内ファイルを閲覧できない」などの課題を抱える企業も多い。

製品資料 株式会社ネットワールド

今さら聞けないストレージの基礎知識:自社に適したモデルをどう選ぶ?

ビジネスにおけるデータの重要性が増す中、それを保存するためのストレージへの注目度が高まっている。それでは、自社に最適なストレージを導入するためには、どのように選定すればよいのか。重要なポイントを分かりやすく解説する。

プレミアムコンテンツ アイティメディア株式会社

HDDやSSDではなく「光ディスク」を選ぶ理由

ストレージの主役がHDDやSSDへと移行した今もなお、光ディスクは一定の存在感を保っている。その基本的な仕組みや、長所と短所、主要な用途について、技術的背景の変遷を踏まえつつ解説する。

製品資料 エヌアイシー・パートナーズ株式会社

コンテナ基盤を最短4時間で構築、AI時代に最適な次世代データ基盤の実力とは?

AIなどによるデータドリブンなアプローチが主流となり、データ基盤にはコンテナネイティブな環境への対応が求められている。こうした中、コンテナ基盤を最短4時間で構築でき、大幅なコスト削減も期待できる、次世代データ基盤が登場した。

プレミアムコンテンツ アイティメディア株式会社

大容量SSDが“100TB超え”でHDDを置き去りにした日

SSDは高速なだけでなく、大容量化でもHDDを凌駕(りょうが)し始めている。100TB超のSSDが登場する今、ストレージ選定の常識はどう変わるのか。

アイティメディアからのお知らせ

From Informa TechTarget

なぜクラウド全盛の今「メインフレーム」が再び脚光を浴びるのか

なぜクラウド全盛の今「メインフレーム」が再び脚光を浴びるのか
メインフレームを支える人材の高齢化が進み、企業の基幹IT運用に大きなリスクが迫っている。一方で、メインフレームは再評価の時を迎えている。

ITmedia マーケティング新着記事

news017.png

「サイト内検索」&「ライブチャット」売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、サイト内検索ツールとライブチャットの国内売れ筋TOP5をそれぞれ紹介します。

news027.png

「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。

news023.png

「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...