テープ愛好家が推す「SSDやHDDより安い」の利点が値上げでも消えない理由テープの出荷拡大の“なぜ”【中編】

LTOテープの一部製品に値上げの動きがある。値上げは企業のストレージ購買にどのような影響を与えるのか。新旧テープ規格の利用動向を踏まえて予測する。

2022年09月30日 05時00分 公開
[Paul CrocettiTechTarget]

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 各種ストレージの中で、容量単価を売りにするテープ。ベンダーの一社である富士フイルムは、テープ規格「LTO」(リニアテープオープン)に準拠する製品の一部値上げを発表した。

 企業がテープを愛用する主な理由は、HDDやSSDなど他の主要ストレージと比較して、データ保管のコストを抑制しやすい点にある。このセールスポイントに、値上げはどのように影響するのか。

「SSDやHDDより安い」というテープの魅力はどうなる?

 ストレージの種別で見ればテープの他にもSSDやHDD、光ディスクなどがあり、利用する場所で見ればオンプレミスやクラウドのデータセンターがある。データを適切な場所で、適切なタイミングで、適切なコストで保管するという観点において、「企業は複数のストレージを使い分ける必要がある」と、富士フイルムの米国子会社FUJIFILM Recording Media U.S.A.のリッチ・ガドムスキー氏は述べる。

 LTOテープは企業のIT購買にどのような影響を与えるのか。「値上げがテープの魅力を損なうことはない」というのが関係者の見方だ。ガドムスキー氏は「テープは値上げ後も他のストレージと比較して低いTCO(総所有コスト)をキープできる」と説明する。

 富士フイルムが値上げをするテープカートリッジは、「LTO-6」「LTO-7」「LTO-8」準拠の製品で、「LTO-9」準拠の製品は対象から外れている。調査会社Evaluator Groupのシニアストラテジスト兼アナリストのランディ・カーンズ氏は、「企業は自社の財務計画に合わせて購入計画を練る必要がある」と話す。

 製品化されている規格としてはLTO-9が最新だが、2022年現在で企業が使用する製品の主流はLTO-7とLTO-8など旧型の規格だ。ガドムスキー氏は、LTO-9の販売数がLTO-7とLTO-8に近づくには、これから数四半期は必要だと予測する。

 カーンズ氏は、旧型のテープ製品の販売数は減少するとみる。「値上げは売上額を維持することにつながるため、ベンダーにとっては理にかなった戦略だ」(同氏)

 ガドムスキー氏によれば、インターネットで販売されるLTO-9の2022年6月の平均価格は、1カートリッジ当たり154.27ドルだった。旧型の製品よりも高い価格帯で販売しているため、LTO-9に値上げを適用する必要はなかったと同氏は説明する。

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