「Citrix DaaS」と「VMware Horizon」は、利用可能なセキュリティ機能や、セキュリティ対策に必要なスキルが異なる。この違いはコストにも影響する。両VDI製品群のセキュリティ対策に掛かるコストを比較する。
「VDI」(仮想デスクトップインフラ)を利用する企業にとって、仮想デスクトップへの安全なリモートアクセスを可能にすることは重要だ。Citrix Systems(以下、Citrix)の「Citrix DaaS」(旧「Citrix Virtual Apps and Desktops」)とVMwareの「VMware Horizon」のどちらのVDI製品群を選択するかによって、利用できるネットワークセキュリティ機能は変わる。両者のコストを比較するときは、安全なリモートアクセスに掛かるコストと、管理者のトレーニングといった間接的に掛かるコストを見積もる必要がある。
Citrix DaaSは、CitrixのVPN(仮想プライベートネットワーク)アプライアンス「Citrix Gateway」と組み合わせて導入できる。その他にもF5 Networksのロードバランサー(負荷分散装置)製品群「BIG-IP」やZscalerの同名セキュリティ対策サービスなど、サードパーティー製のネットワークセキュリティ製品/サービスも選択可能だ。
管理性を重視する場合、Citrix Gatewayを選択するとよい。Citrix DaaSの利用中にインシデントが発生した場合、Citrix製品のサポートサービスが、VDIとネットワークの2つの側面から問題を特定して対処できるようになるためだ。
Citrix Gatewayの初期設定には、ウィザードが利用できる。ただし複雑な作業になるので、注意が必要だ。複数の要素の設定が必要であり、1つのミスが致命的となる可能性がある。Citrix Gatewayには、VMware Horizonで利用可能な機能もある。
VMware Horizonは「Unified Access Gateway」(UAG)というネットワークセキュリティ機能が利用可能だ。UAGはオープンソースOS「Linux」をベースにしており、ウィザードに沿って設定できるので導入は難しくない。ただしトラブルシューティングなどの作業にはLinuxの知識が必要となる場合があり、管理コストが増大する可能性がある。
Citrix GatewayやUAGといったリモートアクセス時のセキュリティ対策は、IT管理者の作業を複雑にする。ネットワークセキュリティ製品を管理する場合、セキュリティや証明書、ネットワーク、ファイアウォール、脆弱(ぜいじゃく)性のパッチ適用などの知識が必要だ。仮想デスクトップのセキュリティ対策に掛かるコストを計算するときは、セキュリティ製品のライセンスコストだけではなく、管理者のトレーニングや製品の管理作業に掛かるコストも考慮する必要がある。
第5回は、Citrix DaaSとVMware Horizonを選択する際のポイントをまとめる。
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