企業のセキュリティ担当者は、日々プレッシャーと戦っている。デジタル起因のストレスを受けると、身体や脳にどのような影響が出るのか。燃え尽き症候群になってしまう原因とは。
人間の身体と脳は、危険に直面すると緊張状態に陥り、安全な状況に戻ると緊張前の状態に戻る。しかしデジタル起因のストレスを受けた場合、人間の身体は通常とは異なる反応を見せる。日々さまざまなストレスにさらされているセキュリティ担当者の身体には、どのような反応が生じているのか。
IT業界のメンタルヘルス向上に取り組む非営利団体CyberMindz.orgの創設者ピーター・コロネオス氏は、「脅威が物理的ではない場合、緊張状態が解けない場合がある」と警告する。人間の脳は、物理的な脅威と心理的な脅威を区別できないからだ。
PCやスマートフォンが普及した現代のデジタル世界で、人間の脳はあらゆる場面で心理的脅威を受けている。つまり大脳辺縁系は常にストレスを受けており、緊張状態から解放されることがほぼない。この状態は、セキュリティ担当者が「燃え尽き症候群」を発症する原因になる。
メールセキュリティベンダーのMimecastは2022年7月、世界中のサイバーセキュリティに関する意思決定者1100人を対象に調査を実施。調査結果によると、オランダ人の回答者の46%は「ランサムウェア(身代金要求型マルウェア)攻撃関連の報道が増えたことで、適切な対策を取らなければならないとプレッシャーを感じるようになった」と回答した。
Mimecastでセールスエンジニアリング部門のマネジャーを務めるサンダー・ホフマン氏は、燃え尽き症候群を発症する他の原因を挙げる。それは慢性的なセキュリティ人材不足と、その結果セキュリティ担当者に降りかかる膨大な量の業務だ。
「企業のセキュリティチームには、人材といったリソースが不足している」とホフマン氏は話す。一方サイバー犯罪者は、リソースと技能を豊富に持っており、セキュリティ担当者は“負け戦”を強いられている状況に近いという。
他にもセキュリティ担当者は、サイバー保険の補償範囲や重要インフラへの攻撃といったさまざまな心配事を絶えず抱えている。
第4回は、セキュリティ担当者がストレスにうまく対処するための方法を紹介する。
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