セキュリティ担当者が勤務先に長く勤めようと考えるかどうかは「職場」によるところが大きいという。Gartnerの調査から見えた「セキュリティ担当者の離職率が高まる職場」の特徴とは。
調査会社Gartnerが2023年2月に公開した資料によると、セキュリティ担当者の約半数が2025年までに転職する意向を示している。その主な要因は、職場の問題だ。25%は「複数の仕事上のストレス要因」を理由に、セキュリティ部門に二度と戻らないと考えているという。
調査資料「Predicts 2023: Cybersecurity Industry Focuses on the Human Deal」は、Gartnerが複数の調査資料に基づいて、セキュリティ業界の人材不足に関する問題を分析している。セキュリティリスク管理が、ビジネスの成功に不可欠であることを理解していない企業では、下記のような状況が発生していると同社は指摘する。
セキュリティ担当者は、自分が評価され、実際に影響を与えることができる仕事を求める。そのためセキュリティリスク管理を軽視する企業では、セキュリティ担当者の離職率が高くなる可能性がある。このような背景と、セキュリティ担当者にとっての大きな市場機会を考えると「短期的には人材不足がセキュリティチームにとっての大きな脅威になる」とGartnerは警告する。
「ハッキングされるか、されないか――セキュリティ担当者は、この可能性だけに専念して防衛に当たっている」と、Gartnerのディレクターアナリストであるディープティ・ゴパール氏は指摘する。「セキュリティ担当者は仕事を続けられないほどのストレスに直面している」(ゴパール氏)
セキュリティ担当者のストレスは「セキュリティチームの意思決定の質や成果に直接影響を及ぼしている」とゴパール氏はみる。燃え尽き症候群や自主退職は「良くない企業文化がもたらした結果だ」と同氏は強調。ストレスをなくすことは現実的ではないとしても「従業員をサポートする文化があれば、セキュリティ担当者は困難でストレスの多い仕事をこなすことができる」と主張する。
中編は、セキュリティ担当者が直面する「人的リスク」を解説する。
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