インドのアーンドラ・プラデーシュ州は給水パイプラインのGISデータを収集することで、分析や維持管理などの工程で扱う情報をデジタルで管理可能にした。その際の課題は、地図情報をいかにデジタル化するかだった。
インドのアーンドラ・プラデーシュ州は、給水と衛生面での持続可能な公共サービスを実現する目的で、農村部における給水パイプラインに関する情報をデジタル化する決断をした。同州およびアーンドラ・プラデーシュ宇宙アプリケーションセンター(APSAC:Andhra Pradesh Space Applications Centre)は、地理情報や建物情報などを、APSACが用意した地理情報システム(GIS:Geographic Information System)で利用可能にした。
これを実現するため、同州とAPSACは紙ベースの情報をデジタルに置き換える必要があった。その作業を進める上での課題を、どう乗り越えたのか。
GISで給水パイプラインに関する情報を扱えるようにした結果、エンジニアは給水パイプラインの計画や運用、維持管理、最適化の他、情報の分析など一連の工程をまとめて管理可能になった。これを進めるに当たっての課題の一つは、紙ベースの情報をデジタル化することだった。従来、給水パイプライン図面は紙の地図上に手書きで書き込まれていたため、データに落とし込むことができなかった。その情報をデータベースとリンクする方法もなかった。
APSACは、GIS技術プロパイダーIndtrack Technologyと共同で開発したモバイルアプリケーションと地理空間技術を組み合わせて、手書きの地図を、同等の情報が得られるデジタル地図に変換した。
仮にデジタルデータを取得できなければ、GPS(全地球測位システム)を利用する昔ながらの手法を使って給水パイプラインの座標や図形データを取得し、手作業でデジタル地図に変換する必要がある。その工程には推定で30カ月、コストは約30万6000ドル必要だった。
APSACはデジタル地図の作成を効率化するため、位置情報アプリケーションやモバイルデバイス、ビッグデータ分析、オープンソースソフトウェア(OSS)などを組み合わせてシステム開発を実施した。所要時間を30カ月から7カ月に短縮し、コストは30万6000ドルから12万2000ドルへと60%削減した。
後編では、アーンドラ・プラデーシュ州とAPSACが工期やコストの削減以外にどのようなメリットを得たのかを解説する。
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