2023年1月、Oracleは「Java SE」のライセンス体系を変更することを発表した。これによって、一部の企業で従来よりも多くのライセンス料が発生することをGartnerは懸念している。どの程度変わるのか。
Oracleが、プログラミング言語および開発・実行環境「Java」の仕様群である「Java Platform, Standard Edition」(Java SE)のライセンス体系を変更した。それに伴い、Oracleが提供するJava関連製品・サービスを利用していない企業であっても、Java SEライセンスの使用条件に当てはまるかどうかを確認する必要性が生じている。具体的な変更内容とは。
2023年1月、OracleはJava SEのライセンスを変更した。Oracleがかつて提供していたJava SEライセンスは、エンドユーザーごとにライセンスを発行する「Named User Plus」(NUP)ライセンスか、プロセッサ単位にライセンスを発行する「Processor」の2種類だった。新しいライセンス「Oracle Java SE Universal Subscription」はこれらの体系とは異なり、デスクトップとサーバ、サードパーティーのクラウドサービスでJavaプログラムを使用する場合にライセンスが必要になる。
Java SE Universal Subscriptionの導入により、Oracleは「デスクトップとサーバをライセンスの対象としてカウントする必要がなくなる」と説明する。ただし「ライセンス対象の総数が減少するかどうかはまだ明らかではない」というのがGartnerの見解だ。
従来のライセンスである「Java SE Subscription」の料金は、最小規模で
だった。これに対してJava SE Universal Subscriptionは、最小規模でエンドユーザー1人当たり月額15ドルかかる。
「Oracle Java SE Universal Subscriptionでは、Java SEを使用する企業に所属する従業員全員が課金対象となる」とGartnerは説明する。例えば
という、総計4万5000人のスタッフを擁する企業は、4万5000件のライセンスが必要になるというのがGartnerの見解だ。4万5000人が対象になる場合、ライセンス料は1人当たり月額5.25ドルになる。年額にすると、合計で280万ドル以上のライセンス料が発生する。
支払額が急騰する例としてGartnerは、1万9000件分のNUPライセンスと、2500件のProcessorライセンスを所持していた企業を挙げる。この場合、NUPライセンスは1件当たり月額1.5ドル、Processorライセンスは1件当たり17.5ドルのライセンス料が生じるので、年間のライセンス料は86万7000ドルだ。ライセンス体系がJava SE Universal Subscriptionになると、プロセッサ当たりのライセンス料はカウントしなくてよくなる。1万9000件分のライセンス料を支払う場合、1件当たりの月額料金は8.25ドルとなる。つまり年間のライセンス料は合計で188万1000ドルとなる。以前のライセンス体系と比較すると、117%増と2倍以上になる計算だ。
次回は、ライセンス変更に対するGartnerの見解を紹介する。
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