QRコードを悪用する「QRコードフィッシング」(通称:クイッシング)という攻撃が盛んだ。QRコード使用時には注意が求められる。どのような手口が目立っているのか。
セキュリティ専門家によると、「QRコードフィッシング」(通称:クイッシング)に注意が要る。さまざま場面でQRコードが使われるようになった今、活発化している攻撃だ。クイッシングはどのような手口なのか。
クイッシングは、ユーザーにスマートフォンといったデバイスで偽のQRコードを読み取らせる攻撃だ。偽のQRコードはユーザーを悪意のあるWebサイトに誘導し、マルウェアをダウンロードさせたり、機密情報の入力を要求したりする。
HPのマルウェアアナリスト、パトリック・シュレファー氏によると、同社はここ数カ月間、ほぼ毎日のようにクイッシング攻撃を観測している。「一連の攻撃は同じサイバー犯罪者グループによるものだとみられる」と同氏は述べる。この攻撃を発見したのは、似たようなWord文書が添付された不審なメールに気付いたのがきっかけだという。
それぞれのWord文書には、中国語のテキストとQRコードが含まれていたとシュレファー氏は説明。送信元は中国財務省を装い、受取人に対して「政府による補助金を受けられる」と伝えていたという。HPによると、補助金を受け取るにはQRコードをスキャンし、名前やクレジットカード番号といった情報の入力が求められた。
HPが発見した別のクイッシングでは、宅配業者を装ったメールがユーザーに届き、QRコードを使って支払いするように促されていたという。シュレファー氏によると、QRコードが悪用されるのは、PCと比べてフィッシング対策が弱い可能性があるスマートフォンを攻撃の対象にするためだ。クイッシングによって企業アカウントの認証情報を入手し、企業に大規模な攻撃が仕掛けられる可能もあると同氏は指摘する。
セキュリティベンダーAbnormal Securityは、QRコードを使用してメールソフトウェアのセキュリティ機能を回避する攻撃を観測したという。通常、メールソフトウェアはメール内のURLをスキャンして不審なリンクを検出するが、QRコードのような画像情報はスキャンしない。
中編は、クイッシング攻撃が活性化している背景を考える。
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